約 526,987 件
https://w.atwiki.jp/musasino/pages/360.html
#blognavi 体バッキバキ…。全身筋肉痛だ。足首、股関節、背中、見事に痛い。そんな満身創痍の状態でハローワークへ。就職活動してるっていうよりは、漂流してるカンジだな。昨日の英雄は虚ろに漂いました。 ライターの仕事を探してるけど、書類選考で全滅だな(笑)俺に何が描けるかって、何も描けない。俺は小説しか描けない。英雄どころか弱者じゃねーか! 小さな喜びを糧に、僕はこれからも生きていくんだ。 膝すりむいちゃったけど、へっちゃらさ。 カテゴリ [2008年05月] - trackback- 2008年05月19日 22 36 43 #blognavi
https://w.atwiki.jp/bartlett3/pages/293.html
Atarefaunet Revemel アタルフォーネ・レヴメル サンドリア王国出身の元貴族、現盗賊。没落貴族となったのちタブナジア侯国に渡り、アタルフォーネ盗賊団を結成した。 主にラテーヌ高原を行き交う隊商への略奪行為で有名になり「ラテーヌの緋の雷鳴」の二つ名で恐れられた。 863年、賞金稼ぎのブッキーチェブキーとイズメニオスに捕縛されボストーニュ監獄に投獄されたが、食中毒による獄死を装って脱獄した。 現在はタブナジア侯国、及び自らの家名の復興に向けて活動している。 サンドリア王国の神殿騎士エプリフォーン・M・レヴメルの息子として生まれる。 854年、三ヵ国合同北方調査隊員であったフランマージュ・M・ミスタルが闇の王に暗殺されるが、サンドリア王国はその犯人を突き止める事が出来なかった。 ミスタル家は一人息子のレゼルビューが継いだが、彼とエプリフォーンは元々仲が悪かった事もあって、事件の真相を巡り口論となり、その果てに当時既に禁止されていた決闘を行った。 この決闘はミスタル家の領地「ギルド桟橋」を狙うワーロンビリオ・M・テュロムによって国王に密告され、ミスタル家とレヴメル家は伯爵位を剥奪されてサンドリア王国から追放された。 盗賊団結成 ミスタル家婦人レフィーヌは息子ルーヴランスを連れてセルビナの実家に帰ったが、一方アタルフォーネはタブナジア侯国へと渡った。 彼はここで盗賊団を結成し、裏社会における権力の獲得と家名の復興を目指した。 盗賊団としての活動はラテーヌ高原における略奪行為が特に有名となったが、その他にもタブナジア侯国やサンドリア王国の貴族から多数の汚れ仕事を引き受けたため、 これが彼をタブナジア大聖堂の深部、暗部へと徐々に食い込ませて行った。エシャンタールとの面識もこの時に作っており、プロマシアミッション「闇に炎」では約20年振りに再会を果たしている。 しかし広がる人脈に伴って彼の悪名も轟きだし、アタルフォーネの首には当局から莫大な賞金が掛けられるようになった。 ブッキー・チェブキーとイズメニオスはこれを狙い、863年、戦火で焼け落ちてゆくタブナジア侯国の混乱に乗じてアタルフォーネを急襲し捕縛する事に成功した。 アタルフォーネはサンドリア王国へと引き渡され、ボストーニュ監獄に幽閉された。 逐電と帰還 投獄されたアタルフォーネに汚れ仕事を依頼していた貴族達は、自らの関与が彼の口から自白されるのではないかと恐れ、大きく慌てた。 特にレヴメル家を密告する事でギルド桟橋を得ていたワーロンビリオの行動は素早く、看守を買収してアタルフォーネの食事に毒を盛らせたが、 アタルフォーネはこれを逆手に取り、食中毒による獄死を装って脱獄を果たし、西国のアドゥリン諸島へと逃亡した。 彼は盗賊団員の取り纏めを腹心のヴォーダラムに任せ、ほとぼりが冷めるまで雌伏の時を過ごし、 タブナジア大聖堂の聖遺物を交換条件に、アドゥリンの資産家から資金と軍事力の提供を取り付けると、中の国に帰還した。 プロマシアミッション 帰還したアタルフォーネは、表立って自由に動くための顔と身分をまず手に入れるべく、仇敵ミスタル家のルーヴランスに接触した。 奇しくもルーヴランスもまたアタルフォーネと同じく自らの家名復興を目指して活動中であり、彼は武名を上げるべくラゾア大陸に向かってエグセニミルと合流しようとしていた所であった。 アタルフォーネはウルガラン山脈の案内人に化けてルーヴランスを熊爪岳まで連れ出すと、剣で不意打ちし、半ば脅迫に近い形でルーヴランスに変装する事を認めさせた。 こうして仮初の身分を手に入れたアタルフォーネは、タブナジア大聖堂の聖遺物の中でも最たる物である「タブナジアの魔石」を回収するために各地を巡り始めたが、 紆余曲折を経てタブナジアの魔石がマザー・クリスタルに還り、この世から消滅してしまったために、やむなく資産家からの援助を諦め、盗賊団のメンバーと再合流を果たした。 その際、盗賊団以外で唯一自分の生存を知るルーヴランスに決闘を持ち掛け、わざと敗北し、死亡したと思わせる事に成功している。 「俺の望みを叶えるためには、名を変え、今一度、再出発すればいいだけのことだ。タブナジア復興、侯爵家の再建、騎士団の新生。そして……レヴメルの名が復活する。 俺も奴も、ひとつだけ似ていることがある。歴史に名を残すまで、決して諦めぬということだ。では、失礼するよ。さようなら、PC。」 【覚書】 プロマシアミッションにおける味方NPCの一人。NPCは5種族からバランスよく選ばれており、アタルフォーネはエルヴァーン代表の一人といえる。 ルーヴランスに変装している間は一人称を「私」とし終始慇懃な口調だったが、エピローグで私人に戻ってからは「俺」となり、ラフな素顔を見せた。 似た境遇のルーヴランスとは対照的に描かれ、ルーヴランスが熱血直情型で表の世界で武名を上げようとしているのに対し、アタルフォーネは冷徹な野心家として裏の世界で名を上げようとしている。 自身の生存を知ったルーヴランスを抹殺するため、一度ギルド桟橋に呼び出している。そうすればルーヴランスを疎むワーロンビリオが自ずと彼を片付けてくれると踏んでの事であった。 しかし偶然その場に居合わせたPCが、ワーロンビリオ配下のトンベリを倒してしまったため、のちにルーヴランスに決闘を挑んでわざと敗北するというやや屈辱的な証拠隠滅手段を取る破目になった。 その際アタルフォーネから誘った事とはいえ、自分達の家名を貶める元となった決闘をルーヴランスが二つ返事で引き受けた事に呆れ顔を隠せなかった。 「再生の鏡」という人の記憶を映し出す鏡を愛用している。これによって人の弱みを握り、脅迫や交渉の材料としている。 ブッキーチェブキーに襲われた際「再生の鏡」が破損してしまい、ホノイゴモイに修理を依頼した。また行方をくらませたブッキーチェブキーの所在についても調査を依頼した。 「天使たちの抗い」では男神の呼び声に屈し「私の力を求めている……。この滅びた都をもう一度、輝かせるために……。」と発言。タブナジアの復興願望を読まれ、アル・タユと重ねられた形で誘惑された。 ノーグの船長チエカは、若い頃アタルフォーネに散々利用され捨てられた。 取引きを持ちかけた西国の資産家が誰かは劇中では明らかにされないが、アドゥリン関連の設定が充実した現在では、大聖堂の知識と異物に興味を示したという観点からヴォルティミアではないかと推測される。 【アクション】 ルーヴランス変装時のフェイスタイプは当然ながらルーヴランスに合わせた2Aだが、エピローグにおける修道士の変装では4Aとなっており、 素顔のグラフィックが未だに明らかになっていない珍しいNPCだと言える。 プロマシアミッションでPCに同行する仲間達の一人ではあるが、BFで戦う事はなく「世界に在りて君は何を想うのか?」で戦闘員として再召集された際もカットシーンで剣を振るうのみであった。
https://w.atwiki.jp/3kshiki/pages/519.html
span style="font-size medium;" id=title strong 落第騎士の英雄譚 /strong /span - a href="http //www55.atwiki.jp/3kshiki/pages/519.html" target="_blank" 編集タグ /a br / a href="http //www.ittoshura.com/" target="_blank" アニメ公式 /a / a href="https //ja.wikipedia.org/wiki/%E8%90%BD%E7%AC%AC%E9%A8%8E%E5%A3%AB%E3%81%AE%E8%8B%B1%E9%9B%84%E8%AD%9A" target="_blank" Wikipedia /a / a href="https //twitter.com/ittoshura" target="_blank" Twitter /a br / br / div style="border-style solid;border-width 1px;padding 5px 5px 5px 5px;width 200px;" strong 目次 /strong ul li a href="#basics" 基本情報 /a /li li a href="#musicinfo" 音楽情報 /a /li li a href="#musicmenu" 各話使用音楽一覧Q /a /li /ul /div table tr bgcolor="#DEB887" td colspan="2" align="center" id=basics strong 基本情報 /strong /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" width="120" 監督 /td td a href="https //ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%B2%BC%E5%BF%83" target="_blank" 大沼 心 /a /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 音響監督 /td td a href="https //ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%8E%E7%94%B0%E5%B7%9D%E4%BB%81" target="_blank" 明田川 仁 /a ( a href="https //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%B8%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%AB%E3%83%97%E3%82%BB%E3%83%AB" target="_blank" マジックカプセル /a ) /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 音楽プロデューサー /td td 石川吉元 /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 音楽制作 /td td a href="https //ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%B0" target="_blank" フライングドッグ /a /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 話数 /td td 全12話 /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 放送時期 /td td 2015年10月~2015年12月 /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 原作区分 /td td ライトノベル /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 関連作品 /td td /td /tr /table h4 id=musicinfo 音楽情報 /h4 hr / table width="700" tr bgcolor="#DEB887" td width="65" align="center" strong 区分 /strong /td td align="center" width="300" strong 楽曲情報 /strong /td td align="center" strong 発売情報 /strong /td td width="105" align="center" strong 発売日 /strong /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 劇伴音楽 /td td a href="https //ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%B7%9D%E5%B9%B8%E5%A4%AA%E9%83%8E" target="_blank" 中川 幸太郎 /a /td td 不明 /td td 不明 /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" OPテーマ /td td id="op" strong 「アイデンティティ」酒井ミキオ /strong (第1話~第3話、第5話~第12話) br / 作詞・作曲・編曲:酒井ミキオ br / ※第1話ではEDテーマとして使用。(「主題歌」表記) br / ※第12話では挿入歌として使用。(「メインテーマ」表記) /td td span style="color #0000FF;" S /span strong 『アイデンティティ』 /strong 酒井ミキオ /td td 2015年10月21日 /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" EDテーマ /td td id="ed" strong 「波羅蜜恋華」ALI PROJECT /strong (第2話~第11話) br / 作詞:宝野アリカ 作曲・編曲:片倉三起也 br / /td td span style="color #0000FF;" S /span strong 『波羅蜜恋華』 /strong ALI PROJECT /td td 2015年10月21日 /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 挿入歌 /td td id="in01" strong 「アイデンティティ」酒井ミキオ /strong (第12話) br / 作詞・作曲・編曲:酒井ミキオ br / /td td span style="color #0000FF;" S /span strong 『アイデンティティ』 /strong 酒井ミキオ /td td 2015年10月21日 /td /tr /table div align="right" a href="#title" topに戻る /a /div h4 id=musicmenu 各話使用音楽一覧 /h4 hr / 各話で使用された音楽の一覧。 br / br / ・ここでのOP・EDの定義はクレジット上の表記ではなく、OP・EDクレジットのテロップが表示されている場面(多くはOP・ED映像と共に流れる)で流れていた楽曲。 br / ・基本曲名のみで表記。歌手などが違う場合その都度表記。 br / ・初使用の楽曲は太字で表記。 br / br / table width="700" tr bgcolor="#DEB887" td width="45" strong 話数 /strong /td td width="175" strong サブタイトル /strong /td td width="170" strong OP /strong /td td width="170" strong ED /strong /td td width="150" strong 挿入歌他 /strong /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第1話 /td td 落第騎士 I /td td なし /td td strong 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /strong br / ※「主題歌」表記。 br / ※OPテーマ。 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第2話 /td td 落第騎士 II /td td 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /td td strong 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /strong /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第3話 /td td 落第騎士 III /td td 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /td td 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第4話 /td td 落第騎士 IV /td td なし /td td 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第5話 /td td 皇女の体験 /td td 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /td td 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第6話 /td td 剣士殺し I /td td 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /td td 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第7話 /td td 剣士殺し II /td td 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /td td 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第8話 /td td 剣士殺し III /td td 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /td td 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第9話 /td td 皇女の休日 /td td 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /td td 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第10話 /td td 深海の魔女 VS 雷切 /td td 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /td td 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第11話 /td td 無冠の剣王 I /td td 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 /td td 「 a href="#ed" 波羅蜜恋華 /a 」 /td td なし /td /tr tr td bgcolor="#FFEFD5" 第12話 /td td 無冠の剣王 II /td td なし /td td なし /td td strong 「 a href="#in01" 覚醒の無意識 /a 」 /strong br / 「 a href="#op" アイデンティティ /a 」 br / ※「メインテーマ」表記。 br / ※OPテーマ。 /td /tr /table div align="right" a href="#title" topに戻る /a /div
https://w.atwiki.jp/minnasaba/pages/809.html
【学校で不発弾が炸裂、怪我人無し】 新聞の朝刊トップを飾ったニュースは、その物的被害の大きさから全国の注目を集めた。 深夜に学校一つを焼いた不発弾の爆発は、しかし時間が時間だったために生徒や教師に怪我人は無く、 それが幸いであるとメディアでは報じられていた。 元自衛隊員という専門家が、大戦中の兵器にしては破損の規模や状況がおかしいと意見を述べていたが、 これもいずれ他の情報に飲み込まれて消えゆく物なのだろう。 ―――何故なら、この報道はそもそも嘘しか書いていないのだから。 学校の被害によって、学生には暫くの休みが与えられた。 何ら価値の無い情報を流す全国紙を床に置き、士郎は隣に座るキャスターを見た。 「それじゃあ、頼む。キャスター」 「ええ。でも、本当にいいの?」 キャスターの声色は疑問が僅かながらにあった。 「異存は無い。俺の令呪三画を、三人に一画ずつ移植してくれ」 畳の上に座る士郎の前には、三枝由紀香と、氷室鐘と、蒔寺楓がいた。 キャスターを含めた五人がいる場所は、衛宮邸では無い。三枝由紀香の家に一行は集まっていた。 あの後全員を家に送り届けた後、一晩かけて士郎はキャスターと考えた。 ―――どうやって、三人を守るか? 凛のサーヴァントであるバーサーカーはともかくとして、襲う可能性のあるサーヴァントはアーチャー、アサシン、ライダー。 マスターであるイリヤスフィールが穏便に済ませると明言したセイバーとランサーを抜きにしても、三騎の英霊が襲う可能性を持っている。 しかもこの内の一騎は三人を手駒に変えた容疑者だ。 キャスターと士郎で守るにしても、限度というものがある。完璧に警護するには守る対象の周囲にいるしか無いが、問題は三人という人数だ。 住む家も生活パターンも違う三人。友人同士である事から共にいることが多いことがせめてもの救いだが、現実問題として一人を守っている間に他の二人が襲われていてはどうにもならない。 頭を抱えた士郎に対し、キャスターは一つだけ方法があると言った。 それは、己よりも他者を優先させる士郎しか取らないだろう選択肢。 サーヴァントに対する絶対の命令権、令呪の移植だった。 「終わったわよ」 「……これが『令呪』というものか。見た目にはただの変わった形の痣にしか見えないな」 鐘が自分の掌に刻まれた令呪一画をしげしげと見つめる。 「でもさー、こんなシールみたいに剥がした物で効果あんの?」 「あるわ。間違いなく。これで貴女達は何かあったときに間違いなく私を呼べる」 令呪はサーヴァントを縛るためだけに使われる物では無い。 凛がバーサーカーに使ったように、時としてサーヴァントの力を増幅させることもできる。 そして、「こちらに来い」と命令すれば、空間移動すら可能にすることもできる。 これならば、仮に誰かが襲われても、一回までキャスターを呼ぶことができる。 ―――もっとも、何の問題も無いというわけでもなかったが。 「でも、これで衛宮君の令呪は無くなったんでしょ?それってまずいんじゃあ……」 由紀香が心配して士郎の身を気遣う。 とどのつまり、この作戦の問題はそこにあった。 令呪のアドバンテージをマスターである士郎自身が全て失った。 令呪による援護ができないだけで無く、本人の危機にも使う事ができない。 最悪な想像をすれば、士郎とキャスターが戦っている最中にキャスターだけが三人のいずれかに呼ばれれば、 敵の前には無防備の士郎だけが取り残される形になるのだ。そうなった場合の結末は想像に難くない。 それでも、士郎は安心させるように微笑した。 「大丈夫だ。簡単に死んでやる程ヤワじゃない」 そして三人を見回す。 「とりあえず、夜は絶対に出歩かないでくれ。遠坂の話だと聖杯戦争は夜に行われるらしいからな。それから、昼間でも出来る限り三人で行動するようにしてくれ。」 三人とも頷いた。士郎に言われるまでも無く、あのような怪物達の闊歩する夜など出歩きたいとは思わない。 「……だけどさ、衛宮とキャスターさんは大丈夫なのか。お前が一番危険なんだぞ」 楓の言葉に、緊張が大きくなる。今ここにいる人間で一番危難に晒されやすいのは戦いに赴く士郎とキャスターだ。 由紀香達はまだいい。最悪の場合冬木から遠く離れた街に、聖杯戦争が終わるまで隠れていればいいのだから。 だが、この場で言う最悪の場合は、キャスターもバーサーカーも消滅し、身を守る術が無くなることだ。 当然、最悪の場合が起こったときに、衛宮士郎の命は無いだろう。 「キャスターさん、私達が別の場所に身を隠すわけにはいかないのか?」 鐘の問いかけに、キャスターは言いにくそうに答えた。 「おすすめはできないわ。貴女達の体内にあるモノは、あくまで英霊の宝具。 それの担い手が、現在地を分からないという保証は何処にも無い。ひょっとしたら、身を隠した場所を特定されるかも知れない。そうすれば私達でも守りきれない」 キャスターの言葉は筋が通っていて、残酷だった。更に言葉が紡がれる。 「士郎の選択は良いとは言えないけど、悪いとも言い切れない。少なくとも貴女達はそれぞれ一回までなら身を守れる。もしもの時は遠慮無く使いなさい」 そこまで言うと、キャスターは霊体化して消えた。 「まあ、とりあえず今日の用は済んだ。氷室も蒔寺も、日が暮れる前に家に帰るようにな」 令呪全てを他人に譲り渡した少年も、立ち上がる。そこに何かを惜しむ気持ちは見て取れなかった。 昼間の街は人通りが少なかった。 士郎達が歩いている中、途中で自動車とすれ違った程度で、歩いている人間は見当たらない。 「なあ……妙に人通りが少ないと思わないか。キャスター」 『ヒトというより生き物の持つ本能で理解できるんでしょう。この街に恐ろしいモノがいると。出歩きたくも無くなるわ』 霊体化したキャスターの分析に、士郎は想像してみた。 住み慣れた街にサーヴァントという七人の怪物がいて、しかもそれは目に見えない。 それが得体の知れない恐怖となって冬木に住む人々の精神を苛んでいるのだろう。 「……助けないと」 士郎は決然と呟いた。 救う。 男も女も子供も老人も誰一人として取りこぼしはなく、誰一人として犠牲は無く、眼前にいる人々を一人も余さず救ってみせる。例えこの身が砕け散っても。 『―――僕は、正義の味方に憧れていた』 それが養父から理想を受け継ぎ、炎の地獄を生き残り、空っぽの自分を持つことになったエミヤシロウの為すべき事だ。 少年の決意は硬い。 当然の如く自分自身が勘定に入っていない歪さに気づくこと無く、士郎とキャスターは家路を急ぐ。 屋根の上である。 そこに立つ人影は、古代日本の様式が色濃い鎧を身につけている。 「……十分か」 弓に矢をつがえ、弦を引くその相貌は、まだ年端もいかない少年のそれだった。しかしその眼には冷徹な光が宿り、道を歩く一組の主従を標的に捉えている。 霊体化している女。 歩いている少年。 狙いは両方。本来ならば霊体化しているサーヴァントに攻撃は通じないが、手持ちのある宝具を使えば仕留めることは十分に可能。 此度の戦争においてアーチャーとして召喚された若武者はそう結論づけると、弦を引き絞る。二本の矢が標的に飛来するまであと数秒――― 世の中には絶対に力を持たせてはいけない人間がいて、そしてそういう人間に限って力を持つことがままある。 現在新都の高層ホテルに逗留しているアーチャーのマスターはその典型だった。 それなりの家に生まれた魔術師の長男。男は、ある魔術に関してその才覚を発揮した。 ―――人間の精神操作。 人の脳を受信装置に見立て、魔術師の手によって幾らでも操れる人形に変える魔術を手にした男は、その力を欲望と興味のままに使った。 弄ばれたのは、男の周囲に偶然いただけの一般人だった。 まず最初に、通常人間が忌避感を覚える行為をどれだけさせることができるかという実験が行われた。 例えば、運転する自動車を人混みに暴走させる。 例えば、妻子や友人など親しい人間をナイフで滅多刺しにさせる。 例えば、風の強い日に住んでいる街の建物に火を付けさせる。 実験はつつがなく成功という結果で終了し、大勢の犠牲者が出た中を男はほくそ笑みながら闊歩した。 表の世界で凶悪犯罪と呼ばれたケースが、男の実験によるものだとは誰も気づかなかった。 魔術協会は知ってか知らずか、何の行動も起こさなかった。男の用心深い性格は魔術の痕跡の悉くを消し去っていた。 仮に協会が知っていても、凶悪事件の『犯人』が既に捕まって、大半が獄中で自殺している以上、男を罰することは無かっただろう。 実験という名の罪をどれだけ重ねても、罰せられない環境下で、男の捻れ曲がっていた性根は確実に腐り始めた。 親に子供を殺させる。子供に親を殺させる。無差別に銃撃させる。泥酔状態で運転させ、大事故を起こさせる。 内戦が終結したばかりの国で適当な兵士に敵対側の子供を惨殺させ、内戦を再び勃発させた時には、安全地帯のホテルで小躍りしながら歓喜した。 その頃には、家の悲願だった根源への到達など既にどうでもよくなっていた。 銃で撃たれた子供の顔。 刃物で斬られた女の顔。 ロープで絞殺された老人の顔。 その悲痛と痛苦に満ちた表情は男を際限なく興奮させた。 なによりも、素晴らしいのはそれをやった実験動物達が正気に戻ったときに見せる表情だった。 初めは自分が何をしたのか分からず、次に状況を理解し、そして例外なく絶望する。 子に、親に、妻に、夫に、友人に、会ったことも無い人々に、自分が何をしたのかを思い出し、大半はその場で自殺するか、 世間から人非人と罵られながら、絶望的な裁判で自分の無罪を訴え、それが無駄な抵抗であると知り、一刻も早く死刑になることを望むようになる。 そこまで見て、あるいは想像し、幸福の内に人生を送っていた男は、風の噂で聖杯戦争の事を知る。 あらゆる願望が叶う万能の釜。 それを自分が手にした時のことを考えた。 何一つ、誰にはばかること無く人間を玩具として扱っても、凡俗の一般人は勿論、同じ魔術師でもどうにもできない絶対的な力を手にした時、自分は神になれる。 例えば、数百万近い人間一人一人を操り、殺しあいをさせる。かつて内戦を煽ったときには絶頂に匹敵する幸福を味わったが、今度はどのような幸福を味わえるだろうか。 悪徳の神がいるとすれば、男は確かにそれに愛された存在なのだろう。 冬木に入った男の右手にはつつがなく令呪が刻まれ、持ち主を全員殺して手に入れた聖遺物を用いてサーヴァントを召喚した。決して力を与えてはいけない人間が、歩く暴力のような存在を従えた瞬間だった。 いつも通りに、その男は獲物を物色していた。 アーチャーの第二の宝具である宝珠は、三体まで擬似的なサーヴァントを生み出すことができる。 洗脳で兵隊にするのに、適当な人間を探していたときに身体に誰かがぶつかった。 「あっ、すいません」 眼鏡をかけた灰色の髪の少女はぺこりと頭を下げると、後に続いてきた二人の少女と共に立ち去った。 幸福そうな少女だ。友人らしい二人との会話だけで、それが分かる。 ―――三人まとめて目茶苦茶に使い潰して人生をグチャグチャにしてやったら面白そうだ。 アーチャーに命じて追跡。そのまま捕まえ、宝具を呑ませた。 アーチャー自身は、『この宝具は信用できる人物に託す物だ』と不満だったようだが、男に信用できる人物はいなかったし、使い魔風情の言い分は聞かなかった。 それよりも強力な手駒を『四匹』も従えることができる征服感に酔いしれていた。 ケチが付いたのはそれからだった。 手駒に変えた凡俗三匹がキャスターらしいサーヴァントの手で精神操作をあっさり解呪され、敵マスターの手に落ちてしまったことは、誤算だった。しかもバーサーカーとそのマスターとも関係を持っているらしい。 キャスターに自分の魔術が解呪されたのも屈辱だったが、それ以上に手駒が敵の手に落ちてしまったのがまずい。 とにもかくにも邪魔なキャスターとそのマスターを排除しなければならない。 アーチャーにキャスターの抹殺を命令した男は、柔らかいソファに身を沈め、高価な酒を飲み干した。 ―――その後で手駒はゆっくり躾けるとしよう。 男は再び黒い欲望を滾らせた。 男にとって、この世界の全ては自分の玩具であり、自分は玩具箱の支配者だった。 神は全ての命を支配する権利があり、命を捨てるも生かすも自分次第。 自分に与えられた力を男は心底愛し、神として振る舞っていた。 だからこそ奪う。だからこそ踏みにじる。何故なら自分は神だから。全ての命は自分の手にある。 ほくそ笑む男は、ある一つの事柄に気づくことは無かった。 ―――神は全ての命に対する采配を持つ。それはつまり、『神』の命もまた『神』の手に握られているという事。 死神の銃弾が窓ガラスを破壊し、男の頭に直撃する。今まで大勢の人々を不幸にするための邪悪な考えを構成していた脳がぶちまけられ、大量の血と共に床に染みを作るまで、男の思考は汚れた欲望に支配されていた。 高層ホテルの上階と同程度の高さを持つビルの上に、アサシンは佇んでいた。手には小銃が握られている。 そのまま感覚共有をしている自分のマスターに聞こえるように呟く。 「終わった。あの男がバゼットの言っていた死徒とかいう化け物でも無い限り、死んだのは間違いない」 アーチャーのマスターが逗留しているホテルを探すのはさほど難しくなかった。 魔術師が工房を設置しそうな場所をバゼットがリストアップし、その周辺の残留魔力を調べ上げる。 それだけで魔術師は見つかった。都合のいいことにアサシンが狙撃ポイントに指定していた場所の射線上に宿泊していた。行動パターンとして窓際に座り、酒を飲む癖があったのはどうか攻撃してくれと言わんばかりだ。 当然、アサシンが狙撃しない理由は無い。 結果的にアーチャーのマスターはあっさりと死亡した。 『終わりましたか。そこから令呪は奪えますか?』 「無理だな」 今から距離のあるホテルに移動するには時間がかかりすぎる。それにアーチャーは既にマスターの死に気づいている筈だ。下手をすれば鉢合わせなんて事態もあり得る。そうなれば、アサシンに勝ち目は全く無い。 『分かりました。とりあえずそこから立ち去ってください』 「ああ……さっさと逃げるか」 そこでアサシンは霊体化して消える。ビルの屋上は風だけが吹いていた。 「……っ、殺られたか」 身体に繋いでいた糸が切れる感覚がする。アーチャーはマスターが死んだことを理解した。 そのまま、矢の狙いを敵から外し、矢を矢筒の中にしまう。 「運がいいな。魔術師の主従……拙者の運が悪いだけか」 踵を返して、拠点にしている宿へと向かった。屋根から屋根を飛び越え、全身から魔力が抜けていく感覚を振り払いながら走り続ける。気がつくと十分もしないうちにマスターの死体の前に立っていた。 半分無くなった顔は、嗤いの形に歪んでいた。見ていて愉快な表情では無い。人の皮を被った獣がそこにいた。 現世に召喚した術者の本性を、アーチャーは大体理解していた。 召喚したのがその程度の男で、おまけにすぐに死んでしまったというのなら、やはり運が悪い。 そんな事をアーチャーは思いながら、テーブルの上の刃物を手に取った。儀式に使う物らしく、切れ味はいい。 「まだ消えられぬ……まだ戦わねばならぬ!」 そこで何の躊躇も無く、マスターだった死体の腕を切り落とした。 令呪が刻まれた腕を持ち、魔力が漏れ続ける身体を動かして、別の場所へ向かう。 ―――自分という存在をほしがっているであろう場所へ。 ―――『あの』場所へ。 「……」 三枝由紀香が、何度も手に刻まれた令呪を見る。 「……」 氷室鐘が持っていた小説を見るが、それは『見て』いるだけで、読んではいない。 「……」 蒔寺楓は、何故か腹筋をしている。筋トレは衛宮士郎とキャスターが出ていったときから続いていた。 いずれも無言でいる。思い沈黙の中を、ようやく筋トレをやめた楓が口を開いた。 「衛宮とキャスターさんとこに行こう!」 突然宣言した楓に、上の空だった由紀香と鐘が驚いたように楓の顔を見つめる。 「これからの事を話しに行くんだよ。スパナとキャスターさんと!」 冬の道は人気が少なく、車もあまり通っていなかった。その中を三人は歩いていく。 「いきなりで驚いたけど、安心もしたよ。蒔ちゃんはいつも通りだね」 由紀香の言葉に、鐘も続く。 「ああ、こんな非日常に迷い込んでしまった時に、変わらないものがあるというのは、ほっとするな」 「よせやい。そんなんじゃないって」 ぷいっとそっぽを向く楓の頬は少し赤らんでいた。 「ただ、さ。不安だったんだ」 楓はおもむろに跳躍した。空中で一回転した後、猫のように音も無く着地する。 「軽く飛び上がっただけでこうなんだ。呑まされたあの『珠』が何か影響してるんだ」 そこで、少し声を落とした。 「以前、『何の脈絡も無く強くなりたい』って言ってたよな。あれ取り消す。やっぱり、こんな風に凄くなっても自慢できない。他人にも、自分にも」 「……確かに怖いな」 そこで鐘が少し背中を揺すった。するとそこに巨翼が出現する。 「こんな風な事がもう簡単にできる。何処まで変わっていくのか、全く分からないというのが怖い」 そこまで話すと、翼は空気中に溶けるように消えた。 「蒔ちゃんも、鐘ちゃんも、私もそうだけど……衛宮君はどうなんだろ」 由紀香の言葉は、問いかけるような響きだった。 「大事な令呪を人に渡して、人のために命がけの戦いに参加するなんて、普通はできないよ」 「うん。確かにすげー奴だよな。何の見返りも無しに戦うんだよな」 「ああ、よくよく考えれば凄い人物だな。まずできるもんじゃない」 「―――そうかな」 「えっ?」 「あっ、ううん。本当に凄いよね。衛宮君って」 「うん。だけど、頼りっぱなしでもいけないよな」 「うむ。だからこそ、こうして衛宮達の負担をどうにか減らせないか話しに行くんだからな」 三人の話は驚く程弾んだ。弾むのも無理は無い。それぞれが抱えている不安を、何とかこの瞬間だけでも忘れさせる事ができないか、お互いで思っているからこそ、話が弾むのは当然と言えた。 だが、僅かな間の安らぎも終わりを迎える。 「五月蠅いんだよ!このグズ!」 「僕が何をしようとお前には関係ないだろ?分かったらさっさと消えろ」 吐き捨てるようにがなり立てる慎二の前で、間桐桜はビクッと身を震わせた。 「……でも、でも、兄さん。本当に学校の火災には関係ないんですか」 縋るように問いかける桜に、慎二はあからさまに舌打ちをする。 「あれは、僕たち以外だよ。大方金が有り余ってるアインツベルンあたりじゃないのか」 慎二の言葉に、桜はようやく息を吐いた。 「……そう、ですか。でも兄さん……あまり危険なことはもう……」 「五月蠅い!!お前はさっさと衛宮の家にでも行ってろ!!」 そのまま桜を突き飛ばした。尻餅をついた桜はそれでもすぐに立ち上がって慎二に縋る。 「でも……兄さん」 「五月蠅いって言ってるだろ!!」 慎二は再び手を上げた。しかしその手が突然動かなくなる。見ると、誰かの手が腕を掴んでいる。 「やめなよ!」 険しい顔で腕を止めているそれは、同じ学校の違うクラスの女子だった。 三枝由紀香がそこに駆けつけるまで、さほど時間はかからなかった。 聞こえた怒鳴り声は、街全体を覆う嫌な空気のせいか人気の無い公園から聞こえた。 すぐに突き飛ばされた少女を目にした。 立ち上がった少女に対し、怒鳴っている顔見知りが手を上げようとする。 気がついたら駆けていた。 手を上げようとする少年の腕を押さえつけた。 「妹さんでしょ。こんなことしちゃダメだよ!」 「なっ、お前の知ったことじゃないだろ!」 由紀香相手に慎二は振り払おうとするが、思いのほか力が強い由紀香を振り解けない。いつも自分の妹にやっているようにがなり立てるが、妙に頑固な少女は怯みはしても、力をゆるめようとはしない。 「お兄ちゃんやお姉ちゃんは、弟や妹を守ってあげなくちゃダメなんだってば!」 誰にでも、譲れない部分はある。 三枝由紀香にとってのそれは、家族だった。手のかかる弟達、しかしそれを嫌だと思ったことは無かった。根本的なところで愛しているからだ。だからこそ、顔見知りがやっていることを無視できなかった。 間桐慎二は、本来守らなければならない筈の妹を傷つけていた。それも一方的に、無抵抗な間桐桜に暴力を振るう形で。それは、誰かが止めなければならないことで、それを自分は止める事ができた。だからこうして暴力を止めている。 果たしてこれがいつもの自分なのか、判別はできない。非日常の世界に巻き込まれてから、自分の中にある何かが脈動していることには由紀香も気づいていた。 いつもの自分だったら、震えながら遠くから注意するだけで終わっていたのかも知れない。 今こうして、暴力を止めている自分は、あの珠がもたらした自分とは別の誰かなのかも知れない。 それでも、三枝由紀香は自分の意思でこの暴力を止めていると信じたかった。 今、間桐桜を助けなかったら、きっと自分は本当に自分でなくなってしまうと思うから。 慎二の手を掴みながら、由紀香は虚空に向かって口を開いた。 「あなたも見ているだけで、何で止めないんですか!?」 突然走り出した由紀香を追って、楓と鐘は通り道の途中にある公園に辿り着いていた。 見ると、なにやら見覚えのある人物と言い争っている様子だった。温厚な彼女にしては珍しいと思いつつも、声をかける。 「由紀っち、どうしたんだよ。いきなり走り出して」 「衛宮からも別行動はしないように言われていただろう。由紀―――」 鐘の言葉は最後まで続かなかった。 何も無い空間に光の粒子が集まり、人型を作り出す。それは2メートル近い巨漢で、髭を生やした武人の姿になった。 「マ、マジかよ」 「サーヴァント……」 二人の足が知らず知らずの内に後ずさる。間桐慎二の手を掴んでいた由紀香も、呆気にとられていた。 「―――儂の事に気づくとはな。気配が尋常ではないとは思っていたが」 武人が手に持った大刀を振りかぶった。 「霊体化している儂を見破る程だ。それもうなずける」 「逃げろ!!」 誰が言ったかは定かではないが、瞬間的に三人は駆けだした。 「どうしたんだ?キャスター」 自宅に帰ってきた士郎は、鏡を覗き込んでいるキャスターに話しかけた。 「あの娘達に、使い魔の目をつけておいたから、一応そのテストをね」 キャスターが持つ鏡には、ここではない別の地点の映像が映し出されていた。キャスターの千里眼の術は距離に関係なく任意の場所を映し出すことができるらしい。 士郎が覗き込むと、雑談をしながら歩く三人の姿が映っている。 「よし。今のところ、大丈夫みたいだな」 その時、三人の中で三枝由紀香だけが別の方向に走り出した。見ると、他にも知り合いが映っている。 「あれ、慎二と桜か?」 「知り合いなの?」 「友人とその妹だ。」 どうやら、三枝由紀香と間桐慎二は口論をしているらしい。その映像を見ている内に、士郎の顔色が変わる。 三枝由紀香が何も無い場所に何かを言ったかと思うと、大刀を持った武人が顕現した。 息を呑んで展開を見ていると、鏡には出現したサーヴァントから逃げ惑う、さっきまで一緒にいた三人組の姿が映っていた。 まともに見ていられたのはそれまでで、気がつくと家の外に出て、駆けだしていた。 走り続けて暫くすると、すぐ横にキャスターがいることに気がついた。 「あそこの場所は知っているの?」 「ここから少し離れた公園だ。そうだ、皆はなんでキャスターを令呪で呼ばないんだ?」 「どうも、混乱しているようね。さっきから念話で呼びかけてはいるけど、反応が無いわ」 どれだけ走り続けても、息が切れるという事がない事に驚いたが、今は驚く暇すら無い。 「動くでない。外れれば苦しむことになる」 「うるへーキョンシー野郎!てめーなんか額にお札貼られて跳びはねてろー!」 鐘と由紀香を連れて必死に駆ける楓の悪態も何処吹く風と、サーヴァントは大刀を振りかぶった。 「待て、ライダー」 「ふむ?」 「色々聞きたいこともある。口を利ける程度に留めておけ」 「まあ、それもそうだな」 大刀を背に背負う“ライダー”だが、その眼光は鋭いままだ。殺しはしないらしいが、捕まってもろくな事にならないのは間違いないだろう。 「足動かせぇ!メ鐘、由紀っち!」 楓の叱咤に二人は必死で走る。勇気を振り絞って後ろを少し振り返ると、ライダーの姿は遠くに離れていた。 ―――逃げられる。 そんな考えが脳裏をよぎった時、内臓にまで響き渡るような怒号が鼓膜を貫いた。 「回り込めぇ!!!!!赤兎ぉ!!!!!!!!!!」 爆発するような―――いや、実際に爆発の勢いを持つ土煙が晴れたとき、そこに在ったモノに三人は目を見張った。 巨馬である。 全身に戦車の装甲を思わせるプロテクターを装着していても、筋骨隆々としていることが分かる巨大な騎馬がそこにいた。 その威容を前に動けなくなった三人に、ライダーと呼ばれた武人は悠々と近づいてくる。 「逃れられぬよ。その赤兎は日に千里を駆ける駿馬ゆえ」 そこでライダーはその手を三人に伸ばした。 慌てて飛び退くが、背後には赤兎と呼ばれた馬が退路をふさいでいる。 「こんなん馬じゃねーよ!UMAだよ!まてよ、赤兎……げえっ関羽!!」 楓の絶叫に驚愕したのは由紀香と鐘だった。 「か、関羽ってあの三国志の?」 「彼があの関羽雲長だというのか蒔の字?」 関羽。 武に秀で、学問に通じ、後年は神にまでなった。三国志を、いや、中国を代表する大英雄。 自分達も知っている本物の英雄が自分達を追い詰めている状況には、全員が震えるしか無かった。 ライダーのサーヴァント、関羽は少しだけ嘆息した。 「やはり儂の名は知られておるなあ。まあいい。慎二が色々と知りたいことがあるそうだ」 「良くやったぞ。ライダー」 ライダーの背後からは、見知った知り合いが歩いてくる。その顔は嗜虐と冷酷さが見て取れる。どう足掻いても事態はいい方向へ行きそうに無い。 「まっ、間桐兄!あたしら同じ学校の顔見知りだろ?お手硬くしていいと思ってんのか!?」 「……それ、『お手柔らか』の反対を言ってるつもりか?そんな言葉ねえよ。これは聖杯戦争なんだぜ。勝率を上げるには何でもするに決まってるだろ。ライダー、少し黙らせろ」 「自分で何とかせいと言いたいところだが、まあ仕方ない」 手に余るかもしれんからな、と小さく呟くと、ライダーが手を伸ばした。 「ひっ……」 これが、結末。身体能力は宝具の影響で多少上がったとは言え、元が普通の人間ならば限度はある。 救いをもたらす令呪の存在にも気づかないほど、三人は狼狽していた。 救いなど無い―――普通ならば。 「あら、大陸の大英雄も零落れたものね。武器も持たない相手を嬲り殺し?」 鈴を転がすような少女の嘲り声と共に、黄金の剣を持った若者と、銀の槍を持った戦乙女が顕現する。 この冬木の地は死者が既に無い筈の命を奪い合い、奇跡の釜を求め合う地、『普通』など、最早何処にも存在しない。 セイバーたるシグルドの剣が、ライダーたる関羽の大刀と激突する。 瞬間、灼熱と雷撃がぶつかり合い、周囲の空気を燃焼させた。火に包まれた中で、由紀香達の前に立つ青年は、その火から三人を守るように仁王立ちしている。 「あ、貴男は……」 「一度だ」 呆然と声をかけた由紀香に対し、青年は振り向かずに口を開いた。 「君は俺の主であるイリヤを助けてくれた。一度だけ、借りを返す」 それだけ言うと、青年はライダーとの斬り合いを続ける。 「そういうことよ。えーと、貴女の名前は?」 「えっ?ええと、三枝由紀香です。三枝が名字で由紀香が名前で」 戦闘の傍らを、槍を持った女性と共に悠々と歩いてきたイリヤスフィールに呆気にとられ、由紀香は思わず自己紹介をした。 「なっ、なんだよお前、なんでサーヴァントが二騎もお前に従ってるんだよ!!」 「別に難しい話じゃ無いわ。令呪が二人分と、二人を賄えるだけの魔力があれば、二人のサーヴァントを呼ぶこともできるし、従えさせることもできるもの」 喚くように疑問を吐く慎二に対し、イリヤはあやすように言葉を紡いだ。 慎二はしばし呆然としていたが、何かに気づいたように目を見開いた。 「……お前、本来の令呪の他に、別のマスターから令呪を奪ったのか」 それまで昆虫を見るような目で間桐慎二を見ていたイリヤスフィールが、ほんの少しだけ驚いたように由紀香には見えた。 「失礼ね。令呪はお金を払って買ったのよ。令呪は授かったけど、命のやり取りをする程の度胸も無い魔術師からね」 「ひっ、卑怯だぞ。そんなの!二対一なんて―――」 「まあ、召喚された当初は私も納得しにくかったが」 槍を持った美女が前に進み出た。その槍にはリング状に炎が渦巻いている。 「『敵』に卑怯だの言われる筋合いは無い。覚悟を決めるのだな。お前の聖杯戦争はここで終わりだ」 『敵』 ランサーらしいアインツベルンのサーヴァントが放った言葉は、慎二の中の撃鉄を押し上げた。 冷静になった頭で、その場でする事を考える。 ライダーの援護……できない。自分には魔術が使えない。 敵マスターを狙う……サーヴァントがマスターの近くにいる以上、不可能。 自分自身の防衛……逃げることは、サーヴァントがいる以上難しい。 「赤兎!その小娘を狙え!!」 思考に埋没していた自分を、聞き慣れた大声が現実に引き戻した。 かつては霊獣であり、超軍師の手により改造された巨馬は一瞬で距離を詰め、敵マスターを踏み潰そうとする。 「ハァッ!!」 スレッジハンマーのような蹄を止めたのは、ルーンが彫刻された槍だった。 強大な力を前に、戦乙女は一歩も引く様子は無い。身の丈程もある槍の突きを巨馬に見舞う。 火花が一閃した。 大槍は巨馬の歯で受け止められている。首を狙った一撃をこの英霊馬は口で止めたのだ。 「見事だな。流石は戦場を駆け抜けた駿馬。だが……炎よ(カノケン)!!」 炎を表す意味のルーンは、空気中に灼熱の炎を生み出した。その炎熱を、巨馬はその巨体からは考えられない程の跳躍によって逃れた。 その一部始終を、慎二は見ていることしかできなかった。 セイバーはライダーと打ち合いながら、ランサーと巨馬の戦いを時折見ていた。 ライダーの騎乗物である英霊馬、赤兎馬。一日に千里を駆けるという能力は伊達では無い。 自らの恋人であり、英霊の魂をヴァルハラへ送る戦乙女の槍を受け止める程だ。 「余所見をしている暇があるのか、剣使い!」 ライダーの大刀が、胴を薙ぎ払う。数歩分後退した敵の姿を見て、ライダーは憎々しげに睨んだ。 「宝具か」 「ご名答」 渾身の力で大刀が直撃した胴は、未だに傷一つ付いていない。 それだけではなく、頭部や手首など、ライダーが確かに攻撃した部位にも目立った負傷は見られない。 これ程の防御力は、最早宝具か固有スキルしかあり得ない。ライダーの帰結は当然と言えた。 「だが、儂はまだ宝具は使っておらん。もう一人のサーヴァントは赤兎が止めている。小僧、貴様ごとあの小娘を消し飛ばす程度簡単なのだぞ」 瞬間、セイバーの剣がライダーの首を落とそうと去来するも、それは大刀の一撃で止められた。 「……口ばかり良く回りやがる。二度と俺の前でそのような言葉を吐くな。もう少し長生きがしたければな」 怒気以外の全てをそぎ落としたような声色に、ライダーはふむ、と頷いた。 「慎二!」 「なっ、なんだよ!?」 突然話を振られ、慎二は動揺を隠せずに返事をしてしまった。 「そろそろ宝具を使うが、何か問題はあるか?」 あの傲岸なサーヴァントが自分に対し、宝具使用の意見を求めていることに驚いたが、ライダーはセイバーと、ランサーは赤兎馬と、それぞれ拮抗状態に陥ったこの状況では宝具の使用が一番では無いかと確かに思う。 「よ……よし。ライダー宝具を―――」 「兄さん、だけどこんな昼間に宝具を使った……ら……」 桜の咎めるような声を無視しようとしたが、その視線がある一角を凝視したまま動かないことに気づく。 「あ……あ……」 呻くように言葉を発しようとしている桜の視線の先を見た。 「慎二、これは一体どういうことなんだ」 知り合い―――衛宮士郎がそこにいた。
https://w.atwiki.jp/bartlett3/pages/297.html
Tenzen テンゼン ひんがしの国出身の武士。ひんがしの国に「虚ろなる闇」が溢れ出した原因の究明と解決を帝に託され、中の国に渡航した。 ジュノ大公国がマザー・クリスタルの保護管理を怠った可能性を疑い、それが真実だった場合、中の国を相手取った戦争をも辞さぬ覚悟だったが、 「世界の終わりに来る者」の打倒を目指すPCと同道する内に、世界と人類の起源に触れ、虚ろなる闇とはそもそも人間が本質的に抱えているものなのだと知る。 それでもなお闇に回帰することなく人間として生きる道を選んだテンゼンは、PCが「世界の終わりに来る者」を討ち取るのを見届け、 更にエシャンタールが「今後アルマター機関がマザー・クリスタルのエネルギーを吸い上げぬよう監視する」と約束した事から、原因の究明解決は成ったと判断して帰国した。 ひんがしの国に生まれる。長じて武士の名乗りを許され、のちに虚ろなる闇が発生する原因の究明を帝より命じられる。その際、国宝「鳳凰丸」の帯刀を許された。 鳳凰丸 鳳凰丸とは、霊獣フェニックスの半身を宿らせた名刀である。 フェニックスは一万年前にもう片方の半身を失っていたため、鳳凰丸に宿る際、数多の人魂を吸収して霊力を回復させる必要があった。 当初その人魂は罪人や蛮族から集められたが、不足分を補うために最終的には貢租を納められぬ村より募られた生贄や、虚ろなる闇に飲まれて昏睡状態にあった人々までもが刃に掛けられた。 そのため鳳凰丸の帯刀には尋常ならざる重責が伴う事となった。 テンゼンは鳳凰丸を通じてフェニックスと交信する事ができ、これが中の国における彼の重要な羅針盤となった。 プロマシアミッション 884年、テンゼンはジュノ大公国がマザー・クリスタルの管理を怠ったがために虚ろなる闇が溢れ出した可能性を疑い、中の国へと渡航した。 その道中、テンゼンはPCやプリッシュらと出会い、旅の目的を同じくする者として道連れになった。 フェニックスの導きによって霊獣カーバンクルから協力を取り付けたり、虚ろなる闇の発生原因がやはりジュノにあった事を突き止めるなど、テンゼンは順調に調査を進めたが、 実はフェニックスにはセルテウスと共謀していた別の計画があり、テンゼンはフェニックスの今際の際までそれを知らされる事はなかった。 その計画とは「PCをマザー・クリスタルの光を吸わせてから殺害する」というものだった。 30年前にジュノのエルドナーシュらが「神の扉計画」を再開しマザー・クリスタルからエネルギーを吸い上げたために、ひんがしに虚ろなる闇が発生したのだが、 それに伴ってかつて高次元世界ルモリアに到達したアル・タユがエネルギー不足に陥って、ヴァナ・ディールに向けて落下を始めるという現象も起こっていた。 アル・タユ内にはプロマシアの器が封印されており、その落下を防ぎたかったフェニックスは、 アル・タユがルモリアに留まれるだけのエネルギーを各マザー・クリスタルから運搬する計画を立案。 セルテウスが運搬役の選定と殺害を行い、死亡した運搬役がアル・タユのマザー・クリスタルに還って光を補充した後で、フェニックスが改めて蘇生させるという計画であった。 バハムート襲来 エネルギーの回収が終わり、あとはアル・タユへ向かうだけとなった段階で、霊獣バハムートが襲来した。 バハムートはPCがマザー・クリスタルのエネルギーを盗んで回っているとみなして激昂、メガフレアによる焼却を図った。 この火急の事態を前に、フェニックスは捨て身の霊力でメガフレアを相殺したが、その結果力尽きて落命した。 武士道とは 俄かに訪れたフェニックスの死にテンゼンは落胆したが、それ以上に深い葛藤へとテンゼンをいざなったのは、 たとえ蘇生が不可能になってもPCは必ず殺さなければならないとするフェニックスの遺言であった。 不慣れな中の国で同道してくれたPCに深い恩義を感じていたテンゼンは最後の最後まで逡巡するも、 最終的には人類のため、ヴァナ・ディールのため、そして祖国で刃に掛けた無辜の民のため、PCを葬る決意をした。 この時のテンゼンの覚悟は凄まじく、その形相は周囲を驚かせ、明鏡止水の境地がゆえにプリッシュの心の言葉による読心をも完全に撥ね退ける程であった。 テンゼンはチェブキー三兄妹を買収し、彼らの移送魔法でPCを孤立させると、一騎打ちの名誉すらもかなぐり捨てて、徒党でPCに闇打ちを掛けた。 しかしそこまでしたにもかかわらず返り討ちに遭い、覚悟も名誉も敗れてしまったテンゼンは、せめてもの罪滅ぼしにと、PCが目指した「世界の終わりに来る者」の討伐に最後まで協力する事を約束した。 そして「世界の終わりに来る者」はPCの手によって討ち取られ、テンゼンの中の国における任務は終了した。 テンゼンはPCの前で腹を切り落とし前をつけようとしたが、配下のくノ一に帰国して祖国の窮乏を救うよう懇願され、 PCもまたテンゼンを許していたため、テンゼンは自身の終生を安寧の世を作るために捧げる事を誓って、帰国の途に着いた。 「そのときは、ぜひにともPC殿に我らが祖国を見ていただきたい。……とりわけ桜の季節の美しさを……。 次に会うときまで、達者で。そなたが我輩に与えてくれた希望ある限り、我らの絆は断たれぬでござろう。」 【覚書】 プロマシアミッションにおける味方NPCの一人。汎用グラフィックのヒュームながらもBFに登場するなど大きな役回りを見せ、のちにフェイスにも採用された。 流派は「天つ水影流」。 生真面目で義理堅い性格。プリッシュが不老不死となった経緯を知るも、不老不死を渇望する帝に彼女の存在を伝えるような真似はしなかった。 精神修養を積んだ武人として描かれ、前述の心の言葉を撥ね返した他にも、ル・メトの園で仲間達が軒並みプロマシアに意識を支配されて行く中、独り正気を保つ事ができた。 その硬い性格のせいか、劇中ではプリッシュの天真爛漫な性格に振り回されるような役回りも多かった。「ナ、ナ、ナ、ナヌ!?」「ひんがしの国の姫君よりも、人使いが荒いでござるよ!」 テンゼンの帰国を懇願するくノ一は、PCの許しを得るために自らの血肉を好きにしてよいと申し入れてくるが、PCがこれを受け入れようとするとシドが止めに入る。 【アクション】 【技連携:花鳥風月】……ただ、春の夜の夢のごとし…… テンゼン専用の技連携。「天つ水影流・花軍」「鳥舞」「風切」「天つ水影流奥儀・月影」の4つのウェポンスキルから成り、全て撃ち終えると紅い満月が出現して爆発する。 花軍は花車、鳥舞は燕飛、風切は陣風のエフェクトを流用しているが、月影だけは固有技であり、残像となった状態で瞬時に4回斬り付けるというエフェクトになっている。 戦闘開始から一定時間が経過すると必ず明鏡止水を発動させてから使用し、連携が成立するとPCは強制的にBFから排出される。 上位BF版では自身中心範囲の魔法ダメージ技に変更され、更に「鏡返」「花軍」「水鞠」「月影」から成る「鏡花水月」(カット無視の約3000頭割ダメージ)も追加された。 (鏡返と水鞠のエフェクトは燕飛、鏡花水月のエフェクトは花鳥風月と同じ。) 【負征矢】 浮かび上がらせた的のイメージを長弓で射抜いて炸裂させる。 テンゼンは一定時間ごとに両手刀モードと弓モードを切り替え、弓モード時はヘイトに囚われないランダム遠隔攻撃を行い、WSはこの負征矢のみを使用する。 連携に噛む事こそないが、テンゼンのWS中最大の威力を誇る。エフェクトは南無八幡の流用。負征矢(おいそや)とは、背負った矢筒中の征矢(実戦向けの矢)の意。 フェニックス死亡後、テンゼンは自らの得物を「鳳凰丸」ではなく「応報丸」と呼ぶようになる。 ポリゴンモデル上、両者に違いはないため(左:鳳凰丸、右:応報丸)元より応報丸にフェニックスの残り火を宿らせた物が鳳凰丸と呼ばれていたのだと考えられる。 フェニックスの残り火を纏う鳳凰丸。人間を嘲るバハムートやディアボロスを相手にまともな会話を成立させられたのは、フェニックスの発言力があればこそであった。 絵心があり、10周年記念イラストには彼が描いたという設定の掛け軸が用いられた。 その際「典膳」という漢字名も披露しており、最上段に描かれた満月は彼の技連携「花鳥風月」を髣髴とさせる。 また鳳凰丸やセルテウスの翼といった限定的な形でしか描かれなかったフェニックスの貴重な全身像も見る事ができる。 ~掛け軸にまつわる伝承~ ひんがしの国の帝に仕える武士の一人が描き、献上したと云われる神獣の掛け軸。 口伝に残る幻の獣らの姿を、その目で見たが如くの出来映え。武士の名と思われる「典膳」なる朱印が押されている。 本来は不倶戴天の敵同士である霊獣と神獣を調和させた美しい構図が映える珠玉の逸品である。
https://w.atwiki.jp/kumicit/pages/762.html
Kumicitのコンテンツ 韓国情勢 韓国の創造論団体KACR (2006/12/17) 韓国で創造論と言えば、Unification Church(統一教会)だが、Korean Association of Creation Researchという団体もあるらしい。 Answers in Genesis のサイトにある 聖書の創造を受け入れる現代の科学者リスト には2006年12月16日時点で186名の名前が挙げられている。このうち韓国人もしくは韓国系は: Prof. Sung-Do Cha, Physics, Seoul National University Prof. Jeun-Sik Chang, Aeronautical Engineering Dr. Choong-Kuk Chang, Genetic Engineering Prof. Gi-Tai Kim, Biology Prof. Jong-Bai Kim, Biochemistry Prof. Jung-Han Kim, Biochemistry Prof. Jung-Wook Kim, Environmental Science Prof. Kyoung-Rai Kim, Analytical Chemistry Prof. Kyoung-Tai Kim, Genetic Engineering Prof. Young-Gil Kim, Materials Science Prof. Young In Kim, Engineering Prof. Jin-Hyouk Kwon, Physics Prof. Myung-Sang Kwon, Immunology Prof. Hee-Choon No, Nuclear Engineering Dr. Jung-Goo Roe, Biology Dr. Young-Gi Shim, Chemistry Prof. Hyun-Kil Shin, Food Science Dr. Ick-Dong Yoo, Genetics, KRIBB Prof. Keun Bae Yu, Geography, Seoul National University の19名。さすがキリスト教の勢力が強いだけのことはあるというところだろうか。ちなみに wikipedia 韓国のキリスト教 によれば: 韓国統計庁が1999年発表したところによると、韓国の宗教人口は総人口の53.6%を占め、非宗教人口は46.4%である。このうち、仏教が26.3%、プロテスタントが18.6%、カトリック7.0%、儒教0.7%、その他1.1%となっている。プロテスタントとカトリックを加えたキリスト教全体では25.6%となり、ほぼ仏教に匹敵する。キリスト教信者数は約1200万人となり、韓国は信者絶対数ではフィリピン、中華人民共和国に次ぎ、国民全体に占めるキリスト教信者の割合ではフィリピンに次ぐアジア第2のキリスト教国である。 これらのうち、Prof. Young-Gil Kimは韓国内に"Korean Association of Creation Research"という創造論団体を1980年に設立に協力している。 若い地球の創造論サイトAnswers in Genesisの1991年31月の記事「 Focus News of interest about creation and evolution 」が雑誌記事引用として、この"Korean Association of Creation Research"を紹介している: Noah’s Ark-size creation centre for Korea A Korean creationist group plans to build a three-storey creation education complex ‘the size of Noah’s Ark’. Chairman of the 1,000-member group of scientists, Professor Young-Gil Kim, said during a visit to Australia’s Creation Science Foundation in Brisbane in December 1990 that the complex would house a creation museum, library, lecture rooms, offices, and accommodation facilities. 韓国の創造論団体は、3階建ての創造教育複合施設『ノアの箱舟の大きさ』を造る予定である。1000名の科学者グループの議長であるYoung-Gil Kim教授は、1990年12月にブリスベーンをにあるAustralia’s Creation Science Foundationを訪れた際に、複合施設は創造博物館と図書館と講義室と事務所と宿泊施設から構成されると述べた。 Professor Kim lectures in materials science at the Korea Advanced Institute of Science and Technology. He helped found the Korea Association of Creation Research in 1980. Kim教授は韓国科学技術先端研究所で物性科学の講義をしている。彼は1980年のKorean Association of Creation Researchの設立に協力している。 ‘All members of our association are Christians and scientists’, Professor Kim said. He said the group has about 250 Ph.D. scientists, 400 more with the Master of Science degree, and hundreds more with the Bachelor of Science degree. He said land worth about US $10 million for the creation education centre had been donated to the group. A leading Korean architect had also volunteered his services. ‘The museum will include dinosaurs and extensive fossil evidence for creation and Noah’s Flood’, Professor Kim said. 「我々の協会のメンバーはすべてキリスト教徒の科学者である。協会には約250名の博士学位を持つ科学者と400名以上の理学修士と、数百名以上の理学部卒業者がいる。1000万米ドル相当の土地が創造教育センターのために協会に寄付された、指導的な韓国の建築家がボランティアで設計を行った。博物館は、創造とノアの洪水を証明する恐竜や多くの化石の証拠を展示する」とKim教授は述べた。 この5年後に、かつての創造科学の本拠地 Institute for Creation Research が、このKorean Association of Creation Researchを取上げている。1996年10月1日付の記事「 Chon-Ho Hyon The Creation Science Movement in Korea 」によれば: As the creation science movement spread, local branches were established by local Christian scientists. Starting from two branches, in 1981, KACR now has 16 branches in Korea and 3 abroad within just 15 years of its founding. 創造科学運動の広まりにより地域のキリスト教徒な科学者たちが、地域の拠点を設立している。1981年には2拠点だったのが、設立から15年にして、KACRは今では韓国内に16拠点と海外に3拠点を持っている。 The total number of members of KACR is now over 1000, including about 500 Ph.D.'s. Most of the members hold jobs as university professors, research scientists or engineers. KACRのメンバー数は今や1000名を超えていて、約500名の博士が含まれている。メンバーの大半は大学教授や研究所研究員や技術者など仕事を持っている。 ということでメンバーは増えたらしい。 Korean Association of Creation Researchの現在のオフィスは、 ChristianAnswers.Net によれば: Korea Association for Creation Research, Olympian Building, Room 811, 196-7 Jamilbou-dorg, Songpua-Ku, Seoul, SOUTH KOREA. であり、これはオフィスビルの一室のようだ。 なお、博物館がどうなったのか、英語で検索しても情報はでてこない。 Webサイトは2つのドメインで存在してる。 http //www.creation.or.kr/ http //www.kacr.or.kr/ コンテンツは同じであり、自動翻訳を使うと... 類人猿の虚構 5 新旧人の実際 進化論者たちはホモエレックトスが 10万年前にアフリカ(ジムバブウェ)と中東地方(イラク)に現われた求人(旧人) ネアンデルタルである(Neander Valley,Germany 3-20万年前)と入れ替えになったが,これらは解剖学的に現代人と非常に似たり寄ったりだとたいてい... 明かされた連帯測定の操作 ネアンデルタール人は新しいピルトダウンインか? ネアンデルタール人に対して学んで来たし分かっている実は皆が違ったことがあるか?一部 ... 人間進化話はいくら一貫性があるか? ホモエレックトスと現代の間に “忘れてしまった掛けがね”に対する報告を聞くようになる時人... 標準的というか、しょぼいネタが並んでいる。記事の日付からすると、遺跡ではなく生存しているようだが、サーバが貧乏っちいのか、ネットワークが細いのか、レスポンスが悪い。
https://w.atwiki.jp/minasava/pages/992.html
【学校で不発弾が炸裂、怪我人無し】 新聞の朝刊トップを飾ったニュースは、その物的被害の大きさから全国の注目を集めた。 深夜に学校一つを焼いた不発弾の爆発は、しかし時間が時間だったために生徒や教師に怪我人は無く、 それが幸いであるとメディアでは報じられていた。 元自衛隊員という専門家が、大戦中の兵器にしては破損の規模や状況がおかしいと意見を述べていたが、 これもいずれ他の情報に飲み込まれて消えゆく物なのだろう。 ―――何故なら、この報道はそもそも嘘しか書いていないのだから。 学校の被害によって、学生には暫くの休みが与えられた。 何ら価値の無い情報を流す全国紙を床に置き、士郎は隣に座るキャスターを見た。 「それじゃあ、頼む。キャスター」 「ええ。でも、本当にいいの?」 キャスターの声色は疑問が僅かながらにあった。 「異存は無い。俺の令呪三画を、三人に一画ずつ移植してくれ」 畳の上に座る士郎の前には、三枝由紀香と、氷室鐘と、蒔寺楓がいた。 キャスターを含めた五人がいる場所は、衛宮邸では無い。三枝由紀香の家に一行は集まっていた。 あの後全員を家に送り届けた後、一晩かけて士郎はキャスターと考えた。 ―――どうやって、三人を守るか? 凛のサーヴァントであるバーサーカーはともかくとして、襲う可能性のあるサーヴァントはアーチャー、アサシン、ライダー。 マスターであるイリヤスフィールが穏便に済ませると明言したセイバーとランサーを抜きにしても、三騎の英霊が襲う可能性を持っている。 しかもこの内の一騎は三人を手駒に変えた容疑者だ。 キャスターと士郎で守るにしても、限度というものがある。完璧に警護するには守る対象の周囲にいるしか無いが、問題は三人という人数だ。 住む家も生活パターンも違う三人。友人同士である事から共にいることが多いことがせめてもの救いだが、現実問題として一人を守っている間に他の二人が襲われていてはどうにもならない。 頭を抱えた士郎に対し、キャスターは一つだけ方法があると言った。 それは、己よりも他者を優先させる士郎しか取らないだろう選択肢。 サーヴァントに対する絶対の命令権、令呪の移植だった。 「終わったわよ」 「……これが『令呪』というものか。見た目にはただの変わった形の痣にしか見えないな」 鐘が自分の掌に刻まれた令呪一画をしげしげと見つめる。 「でもさー、こんなシールみたいに剥がした物で効果あんの?」 「あるわ。間違いなく。これで貴女達は何かあったときに間違いなく私を呼べる」 令呪はサーヴァントを縛るためだけに使われる物では無い。 凛がバーサーカーに使ったように、時としてサーヴァントの力を増幅させることもできる。 そして、「こちらに来い」と命令すれば、空間移動すら可能にすることもできる。 これならば、仮に誰かが襲われても、一回までキャスターを呼ぶことができる。 ―――もっとも、何の問題も無いというわけでもなかったが。 「でも、これで衛宮君の令呪は無くなったんでしょ?それってまずいんじゃあ……」 由紀香が心配して士郎の身を気遣う。 とどのつまり、この作戦の問題はそこにあった。 令呪のアドバンテージをマスターである士郎自身が全て失った。 令呪による援護ができないだけで無く、本人の危機にも使う事ができない。 最悪な想像をすれば、士郎とキャスターが戦っている最中にキャスターだけが三人のいずれかに呼ばれれば、 敵の前には無防備の士郎だけが取り残される形になるのだ。そうなった場合の結末は想像に難くない。 それでも、士郎は安心させるように微笑した。 「大丈夫だ。簡単に死んでやる程ヤワじゃない」 そして三人を見回す。 「とりあえず、夜は絶対に出歩かないでくれ。遠坂の話だと聖杯戦争は夜に行われるらしいからな。それから、昼間でも出来る限り三人で行動するようにしてくれ。」 三人とも頷いた。士郎に言われるまでも無く、あのような怪物達の闊歩する夜など出歩きたいとは思わない。 「……だけどさ、衛宮とキャスターさんは大丈夫なのか。お前が一番危険なんだぞ」 楓の言葉に、緊張が大きくなる。今ここにいる人間で一番危難に晒されやすいのは戦いに赴く士郎とキャスターだ。 由紀香達はまだいい。最悪の場合冬木から遠く離れた街に、聖杯戦争が終わるまで隠れていればいいのだから。 だが、この場で言う最悪の場合は、キャスターもバーサーカーも消滅し、身を守る術が無くなることだ。 当然、最悪の場合が起こったときに、衛宮士郎の命は無いだろう。 「キャスターさん、私達が別の場所に身を隠すわけにはいかないのか?」 鐘の問いかけに、キャスターは言いにくそうに答えた。 「おすすめはできないわ。貴女達の体内にあるモノは、あくまで英霊の宝具。 それの担い手が、現在地を分からないという保証は何処にも無い。ひょっとしたら、身を隠した場所を特定されるかも知れない。そうすれば私達でも守りきれない」 キャスターの言葉は筋が通っていて、残酷だった。更に言葉が紡がれる。 「士郎の選択は良いとは言えないけど、悪いとも言い切れない。少なくとも貴女達はそれぞれ一回までなら身を守れる。もしもの時は遠慮無く使いなさい」 そこまで言うと、キャスターは霊体化して消えた。 「まあ、とりあえず今日の用は済んだ。氷室も蒔寺も、日が暮れる前に家に帰るようにな」 令呪全てを他人に譲り渡した少年も、立ち上がる。そこに何かを惜しむ気持ちは見て取れなかった。 昼間の街は人通りが少なかった。 士郎達が歩いている中、途中で自動車とすれ違った程度で、歩いている人間は見当たらない。 「なあ……妙に人通りが少ないと思わないか。キャスター」 『ヒトというより生き物の持つ本能で理解できるんでしょう。この街に恐ろしいモノがいると。出歩きたくも無くなるわ』 霊体化したキャスターの分析に、士郎は想像してみた。 住み慣れた街にサーヴァントという七人の怪物がいて、しかもそれは目に見えない。 それが得体の知れない恐怖となって冬木に住む人々の精神を苛んでいるのだろう。 「……助けないと」 士郎は決然と呟いた。 救う。 男も女も子供も老人も誰一人として取りこぼしはなく、誰一人として犠牲は無く、眼前にいる人々を一人も余さず救ってみせる。例えこの身が砕け散っても。 『―――僕は、正義の味方に憧れていた』 それが養父から理想を受け継ぎ、炎の地獄を生き残り、空っぽの自分を持つことになったエミヤシロウの為すべき事だ。 少年の決意は硬い。 当然の如く自分自身が勘定に入っていない歪さに気づくこと無く、士郎とキャスターは家路を急ぐ。 屋根の上である。 そこに立つ人影は、古代日本の様式が色濃い鎧を身につけている。 「……十分か」 弓に矢をつがえ、弦を引くその相貌は、まだ年端もいかない少年のそれだった。しかしその眼には冷徹な光が宿り、道を歩く一組の主従を標的に捉えている。 霊体化している女。 歩いている少年。 狙いは両方。本来ならば霊体化しているサーヴァントに攻撃は通じないが、手持ちのある宝具を使えば仕留めることは十分に可能。 此度の戦争においてアーチャーとして召喚された若武者はそう結論づけると、弦を引き絞る。二本の矢が標的に飛来するまであと数秒――― 世の中には絶対に力を持たせてはいけない人間がいて、そしてそういう人間に限って力を持つことがままある。 現在新都の高層ホテルに逗留しているアーチャーのマスターはその典型だった。 それなりの家に生まれた魔術師の長男。男は、ある魔術に関してその才覚を発揮した。 ―――人間の精神操作。 人の脳を受信装置に見立て、魔術師の手によって幾らでも操れる人形に変える魔術を手にした男は、その力を欲望と興味のままに使った。 弄ばれたのは、男の周囲に偶然いただけの一般人だった。 まず最初に、通常人間が忌避感を覚える行為をどれだけさせることができるかという実験が行われた。 例えば、運転する自動車を人混みに暴走させる。 例えば、妻子や友人など親しい人間をナイフで滅多刺しにさせる。 例えば、風の強い日に住んでいる街の建物に火を付けさせる。 実験はつつがなく成功という結果で終了し、大勢の犠牲者が出た中を男はほくそ笑みながら闊歩した。 表の世界で凶悪犯罪と呼ばれたケースが、男の実験によるものだとは誰も気づかなかった。 魔術協会は知ってか知らずか、何の行動も起こさなかった。男の用心深い性格は魔術の痕跡の悉くを消し去っていた。 仮に協会が知っていても、凶悪事件の『犯人』が既に捕まって、大半が獄中で自殺している以上、男を罰することは無かっただろう。 実験という名の罪をどれだけ重ねても、罰せられない環境下で、男の捻れ曲がっていた性根は確実に腐り始めた。 親に子供を殺させる。子供に親を殺させる。無差別に銃撃させる。泥酔状態で運転させ、大事故を起こさせる。 内戦が終結したばかりの国で適当な兵士に敵対側の子供を惨殺させ、内戦を再び勃発させた時には、安全地帯のホテルで小躍りしながら歓喜した。 その頃には、家の悲願だった根源への到達など既にどうでもよくなっていた。 銃で撃たれた子供の顔。 刃物で斬られた女の顔。 ロープで絞殺された老人の顔。 その悲痛と痛苦に満ちた表情は男を際限なく興奮させた。 なによりも、素晴らしいのはそれをやった実験動物達が正気に戻ったときに見せる表情だった。 初めは自分が何をしたのか分からず、次に状況を理解し、そして例外なく絶望する。 子に、親に、妻に、夫に、友人に、会ったことも無い人々に、自分が何をしたのかを思い出し、大半はその場で自殺するか、 世間から人非人と罵られながら、絶望的な裁判で自分の無罪を訴え、それが無駄な抵抗であると知り、一刻も早く死刑になることを望むようになる。 そこまで見て、あるいは想像し、幸福の内に人生を送っていた男は、風の噂で聖杯戦争の事を知る。 あらゆる願望が叶う万能の釜。 それを自分が手にした時のことを考えた。 何一つ、誰にはばかること無く人間を玩具として扱っても、凡俗の一般人は勿論、同じ魔術師でもどうにもできない絶対的な力を手にした時、自分は神になれる。 例えば、数百万近い人間一人一人を操り、殺しあいをさせる。かつて内戦を煽ったときには絶頂に匹敵する幸福を味わったが、今度はどのような幸福を味わえるだろうか。 悪徳の神がいるとすれば、男は確かにそれに愛された存在なのだろう。 冬木に入った男の右手にはつつがなく令呪が刻まれ、持ち主を全員殺して手に入れた聖遺物を用いてサーヴァントを召喚した。決して力を与えてはいけない人間が、歩く暴力のような存在を従えた瞬間だった。 いつも通りに、その男は獲物を物色していた。 アーチャーの第二の宝具である宝珠は、三体まで擬似的なサーヴァントを生み出すことができる。 洗脳で兵隊にするのに、適当な人間を探していたときに身体に誰かがぶつかった。 「あっ、すいません」 眼鏡をかけた灰色の髪の少女はぺこりと頭を下げると、後に続いてきた二人の少女と共に立ち去った。 幸福そうな少女だ。友人らしい二人との会話だけで、それが分かる。 ―――三人まとめて目茶苦茶に使い潰して人生をグチャグチャにしてやったら面白そうだ。 アーチャーに命じて追跡。そのまま捕まえ、宝具を呑ませた。 アーチャー自身は、『この宝具は信用できる人物に託す物だ』と不満だったようだが、男に信用できる人物はいなかったし、使い魔風情の言い分は聞かなかった。 それよりも強力な手駒を『四匹』も従えることができる征服感に酔いしれていた。 ケチが付いたのはそれからだった。 手駒に変えた凡俗三匹がキャスターらしいサーヴァントの手で精神操作をあっさり解呪され、敵マスターの手に落ちてしまったことは、誤算だった。しかもバーサーカーとそのマスターとも関係を持っているらしい。 キャスターに自分の魔術が解呪されたのも屈辱だったが、それ以上に手駒が敵の手に落ちてしまったのがまずい。 とにもかくにも邪魔なキャスターとそのマスターを排除しなければならない。 アーチャーにキャスターの抹殺を命令した男は、柔らかいソファに身を沈め、高価な酒を飲み干した。 ―――その後で手駒はゆっくり躾けるとしよう。 男は再び黒い欲望を滾らせた。 男にとって、この世界の全ては自分の玩具であり、自分は玩具箱の支配者だった。 神は全ての命を支配する権利があり、命を捨てるも生かすも自分次第。 自分に与えられた力を男は心底愛し、神として振る舞っていた。 だからこそ奪う。だからこそ踏みにじる。何故なら自分は神だから。全ての命は自分の手にある。 ほくそ笑む男は、ある一つの事柄に気づくことは無かった。 ―――神は全ての命に対する采配を持つ。それはつまり、『神』の命もまた『神』の手に握られているという事。 死神の銃弾が窓ガラスを破壊し、男の頭に直撃する。今まで大勢の人々を不幸にするための邪悪な考えを構成していた脳がぶちまけられ、大量の血と共に床に染みを作るまで、男の思考は汚れた欲望に支配されていた。 高層ホテルの上階と同程度の高さを持つビルの上に、アサシンは佇んでいた。手には小銃が握られている。 そのまま感覚共有をしている自分のマスターに聞こえるように呟く。 「終わった。あの男がバゼットの言っていた死徒とかいう化け物でも無い限り、死んだのは間違いない」 アーチャーのマスターが逗留しているホテルを探すのはさほど難しくなかった。 魔術師が工房を設置しそうな場所をバゼットがリストアップし、その周辺の残留魔力を調べ上げる。 それだけで魔術師は見つかった。都合のいいことにアサシンが狙撃ポイントに指定していた場所の射線上に宿泊していた。行動パターンとして窓際に座り、酒を飲む癖があったのはどうか攻撃してくれと言わんばかりだ。 当然、アサシンが狙撃しない理由は無い。 結果的にアーチャーのマスターはあっさりと死亡した。 『終わりましたか。そこから令呪は奪えますか?』 「無理だな」 今から距離のあるホテルに移動するには時間がかかりすぎる。それにアーチャーは既にマスターの死に気づいている筈だ。下手をすれば鉢合わせなんて事態もあり得る。そうなれば、アサシンに勝ち目は全く無い。 『分かりました。とりあえずそこから立ち去ってください』 「ああ……さっさと逃げるか」 そこでアサシンは霊体化して消える。ビルの屋上は風だけが吹いていた。 「……っ、殺られたか」 身体に繋いでいた糸が切れる感覚がする。アーチャーはマスターが死んだことを理解した。 そのまま、矢の狙いを敵から外し、矢を矢筒の中にしまう。 「運がいいな。魔術師の主従……拙者の運が悪いだけか」 踵を返して、拠点にしている宿へと向かった。屋根から屋根を飛び越え、全身から魔力が抜けていく感覚を振り払いながら走り続ける。気がつくと十分もしないうちにマスターの死体の前に立っていた。 半分無くなった顔は、嗤いの形に歪んでいた。見ていて愉快な表情では無い。人の皮を被った獣がそこにいた。 現世に召喚した術者の本性を、アーチャーは大体理解していた。 召喚したのがその程度の男で、おまけにすぐに死んでしまったというのなら、やはり運が悪い。 そんな事をアーチャーは思いながら、テーブルの上の刃物を手に取った。儀式に使う物らしく、切れ味はいい。 「まだ消えられぬ……まだ戦わねばならぬ!」 そこで何の躊躇も無く、マスターだった死体の腕を切り落とした。 令呪が刻まれた腕を持ち、魔力が漏れ続ける身体を動かして、別の場所へ向かう。 ―――自分という存在をほしがっているであろう場所へ。 ―――『あの』場所へ。 「……」 三枝由紀香が、何度も手に刻まれた令呪を見る。 「……」 氷室鐘が持っていた小説を見るが、それは『見て』いるだけで、読んではいない。 「……」 蒔寺楓は、何故か腹筋をしている。筋トレは衛宮士郎とキャスターが出ていったときから続いていた。 いずれも無言でいる。思い沈黙の中を、ようやく筋トレをやめた楓が口を開いた。 「衛宮とキャスターさんとこに行こう!」 突然宣言した楓に、上の空だった由紀香と鐘が驚いたように楓の顔を見つめる。 「これからの事を話しに行くんだよ。スパナとキャスターさんと!」 冬の道は人気が少なく、車もあまり通っていなかった。その中を三人は歩いていく。 「いきなりで驚いたけど、安心もしたよ。蒔ちゃんはいつも通りだね」 由紀香の言葉に、鐘も続く。 「ああ、こんな非日常に迷い込んでしまった時に、変わらないものがあるというのは、ほっとするな」 「よせやい。そんなんじゃないって」 ぷいっとそっぽを向く楓の頬は少し赤らんでいた。 「ただ、さ。不安だったんだ」 楓はおもむろに跳躍した。空中で一回転した後、猫のように音も無く着地する。 「軽く飛び上がっただけでこうなんだ。呑まされたあの『珠』が何か影響してるんだ」 そこで、少し声を落とした。 「以前、『何の脈絡も無く強くなりたい』って言ってたよな。あれ取り消す。やっぱり、こんな風に凄くなっても自慢できない。他人にも、自分にも」 「……確かに怖いな」 そこで鐘が少し背中を揺すった。するとそこに巨翼が出現する。 「こんな風な事がもう簡単にできる。何処まで変わっていくのか、全く分からないというのが怖い」 そこまで話すと、翼は空気中に溶けるように消えた。 「蒔ちゃんも、鐘ちゃんも、私もそうだけど……衛宮君はどうなんだろ」 由紀香の言葉は、問いかけるような響きだった。 「大事な令呪を人に渡して、人のために命がけの戦いに参加するなんて、普通はできないよ」 「うん。確かにすげー奴だよな。何の見返りも無しに戦うんだよな」 「ああ、よくよく考えれば凄い人物だな。まずできるもんじゃない」 「―――そうかな」 「えっ?」 「あっ、ううん。本当に凄いよね。衛宮君って」 「うん。だけど、頼りっぱなしでもいけないよな」 「うむ。だからこそ、こうして衛宮達の負担をどうにか減らせないか話しに行くんだからな」 三人の話は驚く程弾んだ。弾むのも無理は無い。それぞれが抱えている不安を、何とかこの瞬間だけでも忘れさせる事ができないか、お互いで思っているからこそ、話が弾むのは当然と言えた。 だが、僅かな間の安らぎも終わりを迎える。 「五月蠅いんだよ!このグズ!」 「僕が何をしようとお前には関係ないだろ?分かったらさっさと消えろ」 吐き捨てるようにがなり立てる慎二の前で、間桐桜はビクッと身を震わせた。 「……でも、でも、兄さん。本当に学校の火災には関係ないんですか」 縋るように問いかける桜に、慎二はあからさまに舌打ちをする。 「あれは、僕たち以外だよ。大方金が有り余ってるアインツベルンあたりじゃないのか」 慎二の言葉に、桜はようやく息を吐いた。 「……そう、ですか。でも兄さん……あまり危険なことはもう……」 「五月蠅い!!お前はさっさと衛宮の家にでも行ってろ!!」 そのまま桜を突き飛ばした。尻餅をついた桜はそれでもすぐに立ち上がって慎二に縋る。 「でも……兄さん」 「五月蠅いって言ってるだろ!!」 慎二は再び手を上げた。しかしその手が突然動かなくなる。見ると、誰かの手が腕を掴んでいる。 「やめなよ!」 険しい顔で腕を止めているそれは、同じ学校の違うクラスの女子だった。 三枝由紀香がそこに駆けつけるまで、さほど時間はかからなかった。 聞こえた怒鳴り声は、街全体を覆う嫌な空気のせいか人気の無い公園から聞こえた。 すぐに突き飛ばされた少女を目にした。 立ち上がった少女に対し、怒鳴っている顔見知りが手を上げようとする。 気がついたら駆けていた。 手を上げようとする少年の腕を押さえつけた。 「妹さんでしょ。こんなことしちゃダメだよ!」 「なっ、お前の知ったことじゃないだろ!」 由紀香相手に慎二は振り払おうとするが、思いのほか力が強い由紀香を振り解けない。いつも自分の妹にやっているようにがなり立てるが、妙に頑固な少女は怯みはしても、力をゆるめようとはしない。 「お兄ちゃんやお姉ちゃんは、弟や妹を守ってあげなくちゃダメなんだってば!」 誰にでも、譲れない部分はある。 三枝由紀香にとってのそれは、家族だった。手のかかる弟達、しかしそれを嫌だと思ったことは無かった。根本的なところで愛しているからだ。だからこそ、顔見知りがやっていることを無視できなかった。 間桐慎二は、本来守らなければならない筈の妹を傷つけていた。それも一方的に、無抵抗な間桐桜に暴力を振るう形で。それは、誰かが止めなければならないことで、それを自分は止める事ができた。だからこうして暴力を止めている。 果たしてこれがいつもの自分なのか、判別はできない。非日常の世界に巻き込まれてから、自分の中にある何かが脈動していることには由紀香も気づいていた。 いつもの自分だったら、震えながら遠くから注意するだけで終わっていたのかも知れない。 今こうして、暴力を止めている自分は、あの珠がもたらした自分とは別の誰かなのかも知れない。 それでも、三枝由紀香は自分の意思でこの暴力を止めていると信じたかった。 今、間桐桜を助けなかったら、きっと自分は本当に自分でなくなってしまうと思うから。 慎二の手を掴みながら、由紀香は虚空に向かって口を開いた。 「あなたも見ているだけで、何で止めないんですか!?」 突然走り出した由紀香を追って、楓と鐘は通り道の途中にある公園に辿り着いていた。 見ると、なにやら見覚えのある人物と言い争っている様子だった。温厚な彼女にしては珍しいと思いつつも、声をかける。 「由紀っち、どうしたんだよ。いきなり走り出して」 「衛宮からも別行動はしないように言われていただろう。由紀―――」 鐘の言葉は最後まで続かなかった。 何も無い空間に光の粒子が集まり、人型を作り出す。それは2メートル近い巨漢で、髭を生やした武人の姿になった。 「マ、マジかよ」 「サーヴァント……」 二人の足が知らず知らずの内に後ずさる。間桐慎二の手を掴んでいた由紀香も、呆気にとられていた。 「―――儂の事に気づくとはな。気配が尋常ではないとは思っていたが」 武人が手に持った大刀を振りかぶった。 「霊体化している儂を見破る程だ。それもうなずける」 「逃げろ!!」 誰が言ったかは定かではないが、瞬間的に三人は駆けだした。 「どうしたんだ?キャスター」 自宅に帰ってきた士郎は、鏡を覗き込んでいるキャスターに話しかけた。 「あの娘達に、使い魔の目をつけておいたから、一応そのテストをね」 キャスターが持つ鏡には、ここではない別の地点の映像が映し出されていた。キャスターの千里眼の術は距離に関係なく任意の場所を映し出すことができるらしい。 士郎が覗き込むと、雑談をしながら歩く三人の姿が映っている。 「よし。今のところ、大丈夫みたいだな」 その時、三人の中で三枝由紀香だけが別の方向に走り出した。見ると、他にも知り合いが映っている。 「あれ、慎二と桜か?」 「知り合いなの?」 「友人とその妹だ。」 どうやら、三枝由紀香と間桐慎二は口論をしているらしい。その映像を見ている内に、士郎の顔色が変わる。 三枝由紀香が何も無い場所に何かを言ったかと思うと、大刀を持った武人が顕現した。 息を呑んで展開を見ていると、鏡には出現したサーヴァントから逃げ惑う、さっきまで一緒にいた三人組の姿が映っていた。 まともに見ていられたのはそれまでで、気がつくと家の外に出て、駆けだしていた。 走り続けて暫くすると、すぐ横にキャスターがいることに気がついた。 「あそこの場所は知っているの?」 「ここから少し離れた公園だ。そうだ、皆はなんでキャスターを令呪で呼ばないんだ?」 「どうも、混乱しているようね。さっきから念話で呼びかけてはいるけど、反応が無いわ」 どれだけ走り続けても、息が切れるという事がない事に驚いたが、今は驚く暇すら無い。 「動くでない。外れれば苦しむことになる」 「うるへーキョンシー野郎!てめーなんか額にお札貼られて跳びはねてろー!」 鐘と由紀香を連れて必死に駆ける楓の悪態も何処吹く風と、サーヴァントは大刀を振りかぶった。 「待て、ライダー」 「ふむ?」 「色々聞きたいこともある。口を利ける程度に留めておけ」 「まあ、それもそうだな」 大刀を背に背負う“ライダー”だが、その眼光は鋭いままだ。殺しはしないらしいが、捕まってもろくな事にならないのは間違いないだろう。 「足動かせぇ!メ鐘、由紀っち!」 楓の叱咤に二人は必死で走る。勇気を振り絞って後ろを少し振り返ると、ライダーの姿は遠くに離れていた。 ―――逃げられる。 そんな考えが脳裏をよぎった時、内臓にまで響き渡るような怒号が鼓膜を貫いた。 「回り込めぇ!!!!!赤兎ぉ!!!!!!!!!!」 爆発するような―――いや、実際に爆発の勢いを持つ土煙が晴れたとき、そこに在ったモノに三人は目を見張った。 巨馬である。 全身に戦車の装甲を思わせるプロテクターを装着していても、筋骨隆々としていることが分かる巨大な騎馬がそこにいた。 その威容を前に動けなくなった三人に、ライダーと呼ばれた武人は悠々と近づいてくる。 「逃れられぬよ。その赤兎は日に千里を駆ける駿馬ゆえ」 そこでライダーはその手を三人に伸ばした。 慌てて飛び退くが、背後には赤兎と呼ばれた馬が退路をふさいでいる。 「こんなん馬じゃねーよ!UMAだよ!まてよ、赤兎……げえっ関羽!!」 楓の絶叫に驚愕したのは由紀香と鐘だった。 「か、関羽ってあの三国志の?」 「彼があの関羽雲長だというのか蒔の字?」 関羽。 武に秀で、学問に通じ、後年は神にまでなった。三国志を、いや、中国を代表する大英雄。 自分達も知っている本物の英雄が自分達を追い詰めている状況には、全員が震えるしか無かった。 ライダーのサーヴァント、関羽は少しだけ嘆息した。 「やはり儂の名は知られておるなあ。まあいい。慎二が色々と知りたいことがあるそうだ」 「良くやったぞ。ライダー」 ライダーの背後からは、見知った知り合いが歩いてくる。その顔は嗜虐と冷酷さが見て取れる。どう足掻いても事態はいい方向へ行きそうに無い。 「まっ、間桐兄!あたしら同じ学校の顔見知りだろ?お手硬くしていいと思ってんのか!?」 「……それ、『お手柔らか』の反対を言ってるつもりか?そんな言葉ねえよ。これは聖杯戦争なんだぜ。勝率を上げるには何でもするに決まってるだろ。ライダー、少し黙らせろ」 「自分で何とかせいと言いたいところだが、まあ仕方ない」 手に余るかもしれんからな、と小さく呟くと、ライダーが手を伸ばした。 「ひっ……」 これが、結末。身体能力は宝具の影響で多少上がったとは言え、元が普通の人間ならば限度はある。 救いをもたらす令呪の存在にも気づかないほど、三人は狼狽していた。 救いなど無い―――普通ならば。 「あら、大陸の大英雄も零落れたものね。武器も持たない相手を嬲り殺し?」 鈴を転がすような少女の嘲り声と共に、黄金の剣を持った若者と、銀の槍を持った戦乙女が顕現する。 この冬木の地は死者が既に無い筈の命を奪い合い、奇跡の釜を求め合う地、『普通』など、最早何処にも存在しない。 セイバーたるシグルドの剣が、ライダーたる関羽の大刀と激突する。 瞬間、灼熱と雷撃がぶつかり合い、周囲の空気を燃焼させた。火に包まれた中で、由紀香達の前に立つ青年は、その火から三人を守るように仁王立ちしている。 「あ、貴男は……」 「一度だ」 呆然と声をかけた由紀香に対し、青年は振り向かずに口を開いた。 「君は俺の主であるイリヤを助けてくれた。一度だけ、借りを返す」 それだけ言うと、青年はライダーとの斬り合いを続ける。 「そういうことよ。えーと、貴女の名前は?」 「えっ?ええと、三枝由紀香です。三枝が名字で由紀香が名前で」 戦闘の傍らを、槍を持った女性と共に悠々と歩いてきたイリヤスフィールに呆気にとられ、由紀香は思わず自己紹介をした。 「なっ、なんだよお前、なんでサーヴァントが二騎もお前に従ってるんだよ!!」 「別に難しい話じゃ無いわ。令呪が二人分と、二人を賄えるだけの魔力があれば、二人のサーヴァントを呼ぶこともできるし、従えさせることもできるもの」 喚くように疑問を吐く慎二に対し、イリヤはあやすように言葉を紡いだ。 慎二はしばし呆然としていたが、何かに気づいたように目を見開いた。 「……お前、本来の令呪の他に、別のマスターから令呪を奪ったのか」 それまで昆虫を見るような目で間桐慎二を見ていたイリヤスフィールが、ほんの少しだけ驚いたように由紀香には見えた。 「失礼ね。令呪はお金を払って買ったのよ。令呪は授かったけど、命のやり取りをする程の度胸も無い魔術師からね」 「ひっ、卑怯だぞ。そんなの!二対一なんて―――」 「まあ、召喚された当初は私も納得しにくかったが」 槍を持った美女が前に進み出た。その槍にはリング状に炎が渦巻いている。 「『敵』に卑怯だの言われる筋合いは無い。覚悟を決めるのだな。お前の聖杯戦争はここで終わりだ」 『敵』 ランサーらしいアインツベルンのサーヴァントが放った言葉は、慎二の中の撃鉄を押し上げた。 冷静になった頭で、その場でする事を考える。 ライダーの援護……できない。自分には魔術が使えない。 敵マスターを狙う……サーヴァントがマスターの近くにいる以上、不可能。 自分自身の防衛……逃げることは、サーヴァントがいる以上難しい。 「赤兎!その小娘を狙え!!」 思考に埋没していた自分を、聞き慣れた大声が現実に引き戻した。 かつては霊獣であり、超軍師の手により改造された巨馬は一瞬で距離を詰め、敵マスターを踏み潰そうとする。 「ハァッ!!」 スレッジハンマーのような蹄を止めたのは、ルーンが彫刻された槍だった。 強大な力を前に、戦乙女は一歩も引く様子は無い。身の丈程もある槍の突きを巨馬に見舞う。 火花が一閃した。 大槍は巨馬の歯で受け止められている。首を狙った一撃をこの英霊馬は口で止めたのだ。 「見事だな。流石は戦場を駆け抜けた駿馬。だが……炎よ(カノケン)!!」 炎を表す意味のルーンは、空気中に灼熱の炎を生み出した。その炎熱を、巨馬はその巨体からは考えられない程の跳躍によって逃れた。 その一部始終を、慎二は見ていることしかできなかった。 セイバーはライダーと打ち合いながら、ランサーと巨馬の戦いを時折見ていた。 ライダーの騎乗物である英霊馬、赤兎馬。一日に千里を駆けるという能力は伊達では無い。 自らの恋人であり、英霊の魂をヴァルハラへ送る戦乙女の槍を受け止める程だ。 「余所見をしている暇があるのか、剣使い!」 ライダーの大刀が、胴を薙ぎ払う。数歩分後退した敵の姿を見て、ライダーは憎々しげに睨んだ。 「宝具か」 「ご名答」 渾身の力で大刀が直撃した胴は、未だに傷一つ付いていない。 それだけではなく、頭部や手首など、ライダーが確かに攻撃した部位にも目立った負傷は見られない。 これ程の防御力は、最早宝具か固有スキルしかあり得ない。ライダーの帰結は当然と言えた。 「だが、儂はまだ宝具は使っておらん。もう一人のサーヴァントは赤兎が止めている。小僧、貴様ごとあの小娘を消し飛ばす程度簡単なのだぞ」 瞬間、セイバーの剣がライダーの首を落とそうと去来するも、それは大刀の一撃で止められた。 「……口ばかり良く回りやがる。二度と俺の前でそのような言葉を吐くな。もう少し長生きがしたければな」 怒気以外の全てをそぎ落としたような声色に、ライダーはふむ、と頷いた。 「慎二!」 「なっ、なんだよ!?」 突然話を振られ、慎二は動揺を隠せずに返事をしてしまった。 「そろそろ宝具を使うが、何か問題はあるか?」 あの傲岸なサーヴァントが自分に対し、宝具使用の意見を求めていることに驚いたが、ライダーはセイバーと、ランサーは赤兎馬と、それぞれ拮抗状態に陥ったこの状況では宝具の使用が一番では無いかと確かに思う。 「よ……よし。ライダー宝具を―――」 「兄さん、だけどこんな昼間に宝具を使った……ら……」 桜の咎めるような声を無視しようとしたが、その視線がある一角を凝視したまま動かないことに気づく。 「あ……あ……」 呻くように言葉を発しようとしている桜の視線の先を見た。 「慎二、これは一体どういうことなんだ」 知り合い―――衛宮士郎がそこにいた。
https://w.atwiki.jp/bartlett3/pages/321.html
ヤグード族 ユブヒ族 ヨヴラ族 【 ヤグード族(数珠)】 Yagudo Flagellant(オズトロヤ城) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 100 溶解 130% 炸裂 100% 衝撃 130% 貫通 130% 硬化 150% 切断 100% 振動 130% 収縮 130% ミンダルシア大陸の先住民である鳥型の獣人。天晶暦200年頃に入植してきたタルタル族と敵対関係になりサルタバルタを追われた。 最高指導者である現人神を頂点とした教団を形成しており、高い識字率と教養を誇る。ひんがしの国と交流があり、極東で帝に仕える支族が存在する。 ジョブタイプはモ吟侍忍の4種類で、鳥類の傾向通り風土に強く氷に弱い。 【 ヤグード族(赤面)】 Yagudo Prelate(オズトロヤ城) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 100 溶解 130% 炸裂 100% 衝撃 130% 貫通 130% 硬化 150% 切断 100% 振動 130% 収縮 130% 赤い面具を装着した後方支援タイプ。ジョブタイプは白黒召の3種類が存在する。 【 ヤグード族(現人神)】 Tzee Xicu the Manifest(オズトロヤ城) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 100 溶解 100% 炸裂 50% 衝撃 100% 貫通 100% 硬化 130% 切断 50% 振動 100% 収縮 100% 教団の最高指導者である現人神。ヅェー・シシュが在位中だが、彼女は水晶大戦時に一度消息を絶っており、 ヤグード族としては異常な長命である六十路を迎えつつある事から、戦後に現れたのは成り済ましではないかとする噂がある。 HP約48,000。非戦闘時のみ風のエレメンタルを召喚する。通常攻撃の追加効果に麻痺がある。HP50%でアストラルフロウを一度使用する。 通常個体と比べ全般的に耐性が強化されており、風土に至ってはレジスト保障を得るまでになっている。 Bozzetto Conjurer(アブダルスの模型-レギオン) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 - 50% 息 - 50% 風 + 0% 魔防 200 溶解 50% 炸裂 5% 衝撃 50% 貫通 50% 硬化 100% 切断 5% 振動 50% 収縮 50% アンバスケードのNM。ガルーダ Bozzetto s Avatar を召喚する。ガルーダが倒されると50秒後に再召喚する。 ガルーダは物-50%、魔+0%、魔防200、炸裂切断5%、硬化100%、その他30%で、常にボスと標的を同じくする。 ガルーダ存命中はボスに発光エフェクトが付き、回避アップ+魔回避アップ+風スパイク+被魔法&被ブレス-99%の状態になる。 「雄叫び」の性能がボス雑魚共に180秒間攻撃力+200%に強化されている(通常個体は180秒間+25%)。 「受け流し」は雑魚しか使わないが180秒間防御力+200%に強化されている(通常個体は600秒間+25%)。 雑魚の吟が使用する呪歌はPCと同じ性能である(メヌエット攻+124、ミンネ防+204、マンボ回+72、SPアビ中は二倍)。 Fii Pexu the Eternal(デュナミス-ウィンダス〔D〕) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 - 75% 魔防 190 溶解 50% 炸裂 30% 衝撃 50% 貫通 50% 硬化 50% 切断 30% 振動 30% 収縮 30% ダイバージェンスwave2のボス。エアロガIV、ストンガIV、アスピルII、アブゾアトリ、アブゾタック、ドレッドスパイクを無詠唱で発動させる。 約100秒毎にマイティストライク、百烈拳、ブラッドウェポンのいずれかを使用する。HP50%までは通常のヤグードと同じ特殊技を使用する。 ウィンダスの実装と共にサンドリアとバストゥークのボスの闇耐性が引き下げられたため、当NMは初めから収縮 30%に設定されている。 【 ヤグード族(数珠〔デュナミス〕)】 Vanguard Assasin(デュナミス-バルクルム) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 130 溶解 115% 炸裂 85% 衝撃 115% 貫通 115% 硬化 130% 切断 85% 振動 115% 収縮 115% 水晶大戦時に結成された殉教団。出陣前に盛大な合同葬儀を行い、既に戦死者扱いとなった状態で戦地に赴いた。 Gessho(タラッカ入江 BF「亡国の遺産」) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 110 溶解 70% 炸裂 30% 衝撃 70% 貫通 70% 硬化 100% 切断 50% 振動 70% 収縮 70% アトルガン皇国の新兵器を探るため、ひんがしの国より遣わされた間者。 反皇国勢力の頭目であるルザフと手を結び、多額の資金援助を取り付けたが、その財宝の隠し場所に現れたPCを皇国の手先と勘違いして襲い掛かった。 空蝉 弐、遁術 弐、呪縛 壱、捕縄 壱、毒盛 壱、暗闇 壱を詠唱する。 時々標的でないPCの座標にワープして特殊技を使用する。 HP50%でコピーを3体呼び出す。コピーは本体と連動して忍術を詠唱する。コピーは約20秒で消滅する。 HP約50%で微塵がくれを1回使用する。コピーがいる場合はコピーも連動して微塵がくれを使用する。 Squadron Ascetic(デュナミス-ウィンダス〔D〕) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 120 溶解 115% 炸裂 85% 衝撃 115% 貫通 115% 硬化 130% 切断 85% 振動 115% 収縮 115% ダイバージェンスwave1の通常個体。ジョブはモ/かで百烈拳を一回使用する。 独立して配置されてはおらず、石像に呼び出される事で出現する。 石像の目が緑の時に出現した場合は、被物理ダメージ+25%、被魔法ダメージ-25%、敵が遠いほど被ダメージ-アップ、の状態になる。 石像の目が青の時に出現した場合は、被物理ダメージ-25%、被魔法ダメージ+25%、敵が近いほど被ダメージ-アップ、の状態になる。 Aurix が潜んでいる目が光らない石像や、モンスターのペットには上記ギミックは掛からない。 またデュナミス-ウィンダス〔D〕のヤグード族はボス雑魚問わず、同じWS・ペット特殊技を被弾する度にその技に対してダメージカットを得る。 これは時間では解除されず、異なる技を被弾する事で緩和される。 範囲技の場合は標的にされたヤグード族のみ、その技に対してダメージカットを得る。 例えば石像とヤグード族の群れに、石像をターゲットにしてフェルクリーヴを放った場合、どのヤグード族もフェルクリーヴに対してカットを得る事はない。 【 ヤグード族(白面〔デュナミス〕)】 Vanguard Priest(デュナミス-バルクルム) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 150 溶解 115% 炸裂 85% 衝撃 115% 貫通 115% 硬化 130% 切断 85% 振動 115% 収縮 115% 殉教団の後方支援タイプ。白骨を表す面具を被り、更に羽毛を脱色して全身で死人となった事を表現している。 【 ヤグード族(大袖〔S〕)】 Yagudo Nokizaru(オズトロヤ城〔S〕) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 100 溶解 100% 炸裂 70% 衝撃 100% 貫通 100% 硬化 115% 切断 70% 振動 100% 収縮 100% 589年以来国交のあるひんがしの国より輸入した大鎧。裏地に野牛のなめし革を、小札に黒鉄を使用している。 【 ヤグード族(モー・オジ〔S〕)】 Moo Ouzi the Swiftblade(ガルレージュ要塞〔S〕) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 150 溶解 70% 炸裂 50% 衝撃 70% 貫通 70% 硬化 85% 切断 50% 振動 70% 収縮 70% 指揮官専用の白熊(はぐま)と脇立(わきだて)をあしらった大鎧。目下モー・オジの専用グラフィックとなっている。 【 ヤグード族(白頭〔S〕)】 Yagudo Genja(西サルタバルタ〔S〕) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 130 溶解 70% 炸裂 50% 衝撃 70% 貫通 70% 硬化 85% 切断 50% 振動 70% 収縮 70% 『アルタナの神兵』で追加された亜種。固有技の「白羽取り」を使用する。目下カンパニエバトル中にベルフリーから呼び出される Yagudo Genja の専用グラフィックとなっている。 【 ヤグード族(即身成神〔S〕)】 Soo Luma the Ascended(オズトロヤ城〔S〕 BF「即身成神討伐」) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 133 溶解 70% 炸裂 50% 衝撃 70% 貫通 70% 硬化 85% 切断 50% 振動 70% 収縮 70% 先代の現人神である即身成神。目下ソー・ルマの専用グラフィックとなっている。 ジョブタイプは学者であり、詠唱する精霊魔法が常に範囲化されている(エフェクトはガ系のものを流用)。また連環計中は範囲化された古代魔法を詠唱する。 【 ユブヒ族 】 Aw euvhi(ル・メトの園) 斬 + 12.5% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 120 溶解 150% 炸裂 115% 衝撃 115% 貫通 60% 硬化 115% 切断 115% 振動 60% 収縮 115% フ・ゾイの王宮を徘徊する移動性植物。元は王宮の観葉植物であったと思われるが、時空点転移の影響で人を襲うようになった。 蕾と花の2タイプがおり、蕾は同族にリンクし、花はリンクはしないがアクティブである。 戦闘に入ると時間の経過で形態を切り替え、蕾は防御力が高く、花は攻撃間隔が短い。また使用する特殊技も形態ごとに異なる。 植物は伐採対象という観点から斬特効が設定されている(同様の設定にラフレシア族がいる)。水光に強く火に弱い耐性もプラントイドを意識したものだと思われる。 【 ヨヴラ族 】 Om yovra(アル・タユ) 斬 + 0% 突 + 0% 打 + 0% 遠 + 0% 魔 + 0% 息 + 0% 風 + 0% 魔防 100 溶解 100% 炸裂 100% 衝撃 30% 貫通 70% 硬化 100% 切断 130% 振動 100% 収縮 115% 異次元世界ルモリアを遊泳する軟体動物。シュ・メーヨ海のクラゲが時空点転移を経て変化した姿だと思われる。 遥か上空を漂っているため、降下して襲ってくるまで攻撃を仕掛ける事ができない。通常攻撃の追加効果に麻痺があり、更に麻痺に対して完全耐性を有す。 ルモリアの光を取り込んだのか光に強く闇に弱い。またデンキクラゲのイメージからか雷に強く土に弱い。
https://w.atwiki.jp/aniwikigalaxystar/pages/625.html
ファイアーエムブレム紋章の謎、新・紋章の謎 光と影の英雄 ・自軍ユニット ・敵軍ユニット ・その他キャラクター(NPC) ・武器 ・杖・アイテム・設定・用語etc. ・星のかけらの成長率補正効果(SFC版のみ) ・ルナティック攻略
https://w.atwiki.jp/bluesky-dreamer/pages/180.html
英雄 ずっと 僕の英雄であってくれ ずっと 僕に戦う勇気をくれ 気付いたら君は僕の傍で 眩しく耀いていた 気付いたら君は僕の傍で 勇ましく闘っていた そんな君を僕は とても羨ましく思っていたんだ そんな君を僕は とても誇らしく思っていたんだ 何時でも君は強かった 何時でも君は真剣だった 気付いたら僕は君の傍で 大人しく立っていた 気付いたら僕は君の傍で 慎ましく見つめていた そんな僕を君は とても愛おしく思ってくれた そんな僕を君は とても誇らしく思ってくれた だから ずっと 君は僕の英雄であってくれ ずっと 君は僕の英雄であってくれ ■アトガキ■ 僕の英雄であってくれ モドル